不可解な日本人死者の少なさ
日本のコロナによる死者数は、7月3日の段階でわずかに976人、感染者数も19,068人と非常に少ない。
何故これだけ少ないのでしょう。
私もこれまで多くの研究者や医者の意見を聞いてきましたが、納得のいく説明は残念ながらありません。
外国人にしてみると、この現象は更に不可解で、理解に苦しむようです。
英国の放送局BBCが「Japan’s misteriously low virus death rate(謎に包まれた日本の低いコロナ死亡率)」と題して記事を掲載しています。
日本のコロナ事情を、外国人がどの様に見ているのか参考になると思いますので、かいつまんで、ご紹介したいと思います。
日本は弱点を多く持ちながら感染が広がらず
日本は、ロックダウンの様な強制的な手段をとっていない上に、多くの問題点を抱えていました。
何故これだけ死亡率が低いのでしょう。日本の問題点は下記の通りです。
- 世界中にコロナ感染が広まり始め、幾つかの国々が外国人旅行者に門戸を閉ざし始めた今年2月、日本は国境を開けていました。
- コロナに関しては、老人の死亡率が高いのですが、日本は老人率が世界で最も高い国です。
- コロナは人口が密集している地域で広まりますが、日本の人口密度は世界有数です。東京圏には3,700万人も住んでおり、悪名高い満員電車で通勤しています。
- WHO(世界保健機関)のPCRテストを行えとの忠告を、日本は全く無視しました。これまでのPCR検査数はたったの35万件です。
- 欧州で行われた様なロックダウンは、日本で行われませんでした。Stay at Homeという政府の要請は強制ではなく、罰則もありません。
- コロナ退治に成功したニュージーランドやベトナムは、国境封鎖、厳格なロックダウン、大量のPCR検査を行ないましたが、日本はいずれもやっていません。
コロナ感染が始まって5ヶ月経ちましたが、日本の非常事態宣言は解除となり、日本は通常の生活に戻りました。
日本がコロナ感染の歯止めに成功した明白な証拠もあります。
ソフトバンクグループは、従業員4万人に抗体検査を行ないましたが、何と0.24%しか陽性が出ませんでした。東京等で行われた調査では、0.1%という更に低い数字が出ています。
日本人には特別な要因があるのでは
何人かの研究者が、日本人には何か特別な「Factor X」があるのではと考えています。
日本人は挨拶の際にハグしたりキスしたりしないので、自然にソーシャルディスタンスが保たれていますが、これをFactor Xと捉える人は誰もいません。
東京大学の児玉教授は「日本人は、Covid 19とは違うが、類似したコロナウイルス に既に罹った事がある。」と推測しています。
この経験が免疫を残している可能性があります。
児玉教授によれば、抗体にはIGMとIGGという二種類があり、通常初めてのウイルスにはIGMが最初に反応するものですが、日本人の場合、IGGが最初に反応するケースが多いそうです。
IGGは過去に罹患したウイルスに対して反応する抗体だそうです。
同教授は、過去にSarsの様なウイルスが日本だけでなく、中国、韓国、台湾や東南アジアに広がったのではないかと考えています。
日本の防疫体制が奏功したか
日本にはマスクを着用する伝統が1919年のインフルエンザ流行から続いています。
マスクの着用は飛沫の拡散を防止するだけでなく、ウイルスの危険を知らしめる上で有益だった様です。
日本のクラスター追跡システムは、1950年代の結核感染追跡から始まっていますが、クラスター班は感染初期の段階で、二つの事実に気づきました。
- 感染の3分の1以上が、カラオケやナイトクラブといった場所から発生しています。
- 他者に感染させる人は感染した人の中のほんの一部です。
上記の分析から三密を避けると言うキャンペーンが生まれました。
単にStay at Homeと言うよりも、この三密を避けろと言うキャンペーンが効果を発揮したのかもしれません。
日本モデルから何か学ぶものがあるでしょうか。
Factor Xなどと言うものは無いでしょう。学ぶべきは、日本人の規律でしょう。
何ら強制的な措置なく、日本人はロックダウンと同じ効果をもたらしました。
本当の理由は何だろうか
以上がBBC記事の要約です。BBCは日本人の驚くべき規律正しさに答えを求めていますが、私は「Factor X」があったのでは無いかと思っています。
各国のこれまでの死者数を表す次のグラフをご覧ください。(出典:Johns Hopkins University)
アジア諸国と欧米諸国の死者数の差は明らかです。
BBC記事が指摘する通り、日本は他国に比して、老人度の高さや人口密度が高いなど多くの弱点を抱えています。
にもかかわらず、これだけ死者数が低いのは、特別な理由なしには説明がつきません。
児玉教授の指摘する免疫説や、巷で話題になっているBCGの影響とか何か特別な要因があったと思います。
もちろん、日本人の規律正しさとか、高度な医療システム、クラスター班を中心とした対応策が死亡率の低さにつながった事は間違いありませんが、それに加えて、我々の体の中の何かが、ウイルスと対峙してくれているのだと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。