イスタンブールでの国際カップル
海外駐在を何回かやって、現地で日本人と外国人のカップルを沢山見てきました。
イスタンブールには、「補習授業校」という学校があります。
土曜日だけ開かれるこの学校は、元々はインターナショナルスクールに通う日本企業駐在員の子女に日本語を忘れさせないために作られた学校でしたが、今や国際結婚された方の子女が多数を占める様になりました。
トルコの方との国際結婚では、圧倒的に日本人女性とトルコ人男性の組み合わせが多く、その逆は少ないです。
これは世界的傾向で日本人女性は世界中で人気がある様です。
異文化の壁を乗り越えて絆を深めている国際カップルを数多く見てきた私にとって、ショッキングなニュースが飛び込んできました。
トルコ紙「Hürriyet」が「Türkiye’den Japonya’ya velayet savaşı」(トルコから日本での親権裁判へ』と題して記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Hürriyet記事要約
日本人の夫である小林わたる氏に殴打されて家から追い出された45歳のトルコ人女性、小林セマさんは現在、日本の女性シェルター(家庭内暴力などから逃れて一時的に身を潜めることが出来る施設)に住んでおり、離婚と親権をめぐる裁判を待っています。
「息子と一緒でなければ、トルコに戻ることはできません」とセマは電話インタビューで語りました。
訴訟ファイルによると、建築家のセマは、土木技師として自己紹介した小林わたる氏とソーシャルメディアで知り合いました。
数ヶ月後、彼は彼女に会うためにイスタンブールに来ました。友情は愛に変わり、夫婦は2013年に結婚し、1年後、彼らの息子が生まれました。
「後で、彼が土木技師ではないことがわかりました。しかし、息子のために、私は結婚を続けることを決めました」とセマは言い、イスタンブールで、彼女の夫は仕事を探したり、家計を手伝ったりしなかったと付け加えました。
セマによれば、そこから暴力が始まった様です。
「彼は私の娘に何度も暴力を振るった。」とセマの母親であるナディデ・テキンは語ります。
しばらくして、小林わたるは妻と息子をイスタンブールに残して日本に帰国しました。
しかしその後、彼は重病に陥り、腎不全、糖尿病、心臓病に苦しんでいました。
セマはこの知らせを聞いて、困っている夫の近くに息子と一緒に日本へ飛ぶことを躊躇しませんでした。
「彼女は20年間働いていた仕事を辞めました。彼女はすべての貯金を夫の入院費に費やしました」と、小林セマの弁護士であるタイラン・ギョクメンは言いました。
「彼は元気になるとすぐに、別の女性と一緒にセマをだましました。セマがこれを知った時、わたる氏は彼女を殴り、家から追い出しました」と弁護士は付け加えました。
セマは現在、日本の女性シェルターに住んでいます。 「元建築家の彼女は現在、非正規労働者として工場で働いています」と彼女の弁護士は述べました。
トルコの弁護士によると、日本政府は女性を支援し、日本での裁判の為に三人の日本人弁護士を手配しました。
「あの男は私の娘の人生を台無しにしました。 私は彼女のことを心配している」とテキンは涙を浮かべて付け加えました。
セマは、子供の監護権を巡る裁判が終わるまで、日本に留まる事を決めました。
「私は息子と一緒にトルコに戻ります。」
親日感情を踏みにじる行為
この報道はトルコの新聞ですので、事件の全貌は夫側の弁明を聞かなければ、客観的な判断はできません。
しかし、トルコ側の報道が真実だとすれば、この日本人男性のとった態度は許せません。
日本人はトルコで美化されていると言って良いほど高い評価を受けています。
同じアジア人でも中国人に対する見方とは180度違うと言って良いほどです。
日本人は誇り高い、控えめで責任感がある、情に厚いトルコ人が理想とする美徳を持つ国民であると彼らは信じています。
私の様なビジネスマンはこの様なトルコの方々の暖かい感情に随分助けられてきました。
この日本人男性の行為は、日本人の名誉を傷つけたと言っても良いでしょう。
このトルコ人女性が、親権を得て、最愛の息子とトルコに無事帰国できる事を願ってやみません。
イスタンブールでは、補習授業校の仲間が彼女とその御子息をを優しく迎えてくれるでしょう。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。