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中国は米国をどの様に分析しているのか

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バイデン候補の対中対策に関する懸念

バイデン候補が遂に勝利宣言を行いました。一方、トランプ大統領は法廷闘争を続ける構えで、まだ最終決着まで時間がかかりそうです。

バイデン氏が大統領になった場合、日本にとって一番気になるのは対中政策です。

再びオバマ時代の様に、中国よりの政策を取るのではと心配です。

いやいやオバマ時代に比べれば、民主党内も中国脅威論が高まっており、前回と同じ様な対中政策にはならないだろうとの声もありますが、バイデン氏の対中政策は未だに謎に包まれています。

民主党の支援団体にはウォール街やGAFAの様なIT企業があります。

彼らは、中国市場に強い関心を示しており、バイデン氏が彼らの意に反して、中国に厳しい政策を取つ事は難しいのではないでしょうか。

一方で、中国は米国をどの様に見ているのでしょうか。

英誌Economistが「No American election will change China’s mind - It is sure that America is bent on containing its rise」(米国の選挙は中国の方針を変えない - 米国が中国を押さえ込みにかかっている事は明らかだ)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでその要旨をご紹介しましょう。

Economist記事要旨

アメリカでの選挙日の直前に、中国の高官はホワイトハウスに誰が座ろうが気にしないと説明しました。

これは強がりかもしれませんが、米中関係の完全な回復は難しいと言う中国エリートのコンセンサスを反映しています。

 

中国はアメリカとのより円滑な関係を望んでいると当局者は述べた上で、次の様に語りました。

「しかし、問題の根深さを考えると、世界が変化していると米国が正しく理解しない限り、現在の緊張を緩和させるのは難しいでしょう。

西洋人は自己中心的であり、勤勉な中国人がすぐに彼らと肩を並べる事を望んでいません。

どちらの政党がアメリカを統治しようが、米国や西側世界は中国の台頭を受け入れない。」

 

中国の指導者にとって、トランプの中国に対する攻撃は、いくつかの避けられない傾向を加速させただけです。

トランプの時代は、西側が中国の成功によって沈黙する程に、中国が強力になるしかない事を示しています。

中国エリートはまた、アメリカの弱さが、中国をスケープゴートにしていると考えています。

習主席はバイデン氏と過去に何時間も過ごしました。

バイデン氏は、中国とのより良い関係を望んでいる米国大手企業に近い中道政治家と見なされていますが、中国側は、アメリカとの闘いは避けられないと見ています。

 

中国で最も権威のある機関の1つである北京大学のアメリカ研究センターを率いる王勇は世論に大きな影響を与えています。

彼は、次の様に語ります。

「米国の対中政策は競合する利益団体によって導かれる。

バイデン氏は中国とのより合理的な関係を求めるウォールストリートの金融業者とシリコンバレーの企業トップに注意を払い、タカ派は新しい冷戦を求める。

米中は、気候変動、公衆衛生など共通の利益に向けて協力することができる。

それでも、人々は現実的でなければならない。

アメリカはトップの地位に慣れており、その地位を守るためにあらゆる手段を講じるだろう。」

 

お互いの不振の中で、中国が米国と和解しようとの動きを見せるのであれば、それは中国がより強くなるための時間稼ぎと理解されるべきでしょう。

中国の統治者は強い国だけが敬意を持って扱われると確信しています。

アメリカは中国と対立するかどうかを選ぶことができます。

しかし、アメリカの内部対立は、明らかに中国を有利にするでしょう。

難敵中国に米国は立ち向かえるか

この記事を読んでいると、中国政府の下記の様なしたたかな姿勢が見えてきます。

  1. 米国は中国の台頭を決して許さないだろう。この点において、彼らは利己的で自己中心的である。
  2. 従い、大統領に誰がなろうが、米国との戦いは避けられない。
  3. 中国は米国を追い抜くための時間を稼ぐ為に、米国や西側社会に働きかけていく。その点においてはバイデン候補の方が都合が良さそうだが、中国は米国が手を緩めてくれるとは期待していない。

今回の大統領選及び議会選挙で使われた政治資金は史上最大の140億ドル(1兆4,500億円)に達しています。

バイデン氏は大統領候補として初めて10億ドル(1,000億円)を上回る政治資金を集めました。

これだけの政治資金を得て、勝たせてもらった候補が、スポンサーである圧力団体の意向を無視して、中国に対して思い切った手が打てるでしょうか。

 

私は中国の事を批判する理由は、言論の自由がないという点に尽きます。

しかし、最近の米国の状況を見ていると、本当に自由な民主主義が米国に存在するのかと暗澹たる気持ちになってしまいます。

結局ウォール街やシリコンバレーの金の力に翻弄されているだけではないかという気もしてきます。

米国は1980年代に日本が経済大国として台頭した際に、完膚なきまで日本を叩き、出る杭を打ちました。

しかし、今回の敵は日本より遥かに巨大です。米国がよほどしっかりした戦略を立てない限り、勝てる見込みはありません。

中国は史上最も長く世界一の地位にあった国です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。