中国政策の要 - 台湾
バイデン政権の外交チームは既に発足しましたが、その具体的な政策については未だ明らかにされていません。
日本にとって最も大事なのは対中政策と北朝鮮問題かと思います。
いずれにせよバイデン 政権が中国とどう向き合うかが最大のポイントとなるわけですが、 その中でも台湾をどう扱うかが焦点になります。
ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Japan’s Biden Jitters - From Tokyo, a pointed Taiwan question for the President-elect.」(日本のバイデン 政権に対する懸念 - 次期大統領に向けられた台湾に関する質問)と題して社説を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ社説要約
2020年の米大統領選キャンペーンでは、外交政策にはあまり触れられませんでしたが、バイデン氏が最も多く言及したのは同盟関係の復活でした。
しかしどの同盟関係なのでしょうか?
バイデン氏の大統領就任まで4週間足らずとなる中、アジア太平洋の同盟国の一部は懸念を抱いてます。
先週、日本の防衛当局の文官ナンバー2である中山泰秀・防衛副大臣はロイターに対し、「中国が攻撃的なスタンスを香港以外の地域に拡大することを懸念している」と語りました。
そして「誰もが危惧するように、次の標的の一つは台湾だろう」と述べました。
さらに、今のところバイデン氏は台湾に関して明確な政策を示したり、発表を行ったりしていないと指摘。
同氏はそれをすぐにでも聞きたいと述べました。
そうすれば、日本側もそれに従って台湾への対応を準備できるからだと言います。
ロイターによると、同氏はこんな問いも投げかけました。「もし中国がレッドライン(越えてはならない一線)を越えるようなことがあれば、バイデン氏は大統領としてどう対応するのか?」
中国政府の強硬派は、台湾について分離独立を求める一地方とみなし、中国の統制下に置こうと必死です。
同時に、台湾の先進的な半導体技術も手に入れたがっています。
一方、台湾の民意は統一とは逆方向に動いています。
特に中国が条約義務を破り、香港の民主化運動参加者を逮捕している今はなおさらです。
中国の軍事行動が、バイデン氏の任期中に幅約177キロメートルの台湾海峡を越える可能性は排除できません。
台湾がその意に反して独立性を失えば、地政学的な激震が走ることとなり、太平洋地域の勢力バランスは決定的に中国有利へと傾くでしょう。
アジア諸国は米国との関係を見直す必要が出てきます。それは世界の安全保障や貿易に劇的な影響を及ぼすでしょう。
米国が目標を置くべきは抑止です。
そのために何よりもまず台湾を武装させ、たとえ米国の援護がなくても、中国が侵攻すれば高い犠牲を伴うようにすべきです。
また米国はこれからも、台湾の防衛戦に向けた軍備の代化や民間計画を支援し続けるべきです。
トランプ大統領率いる現政権は、ミサイルや機雷、無人機を含む台湾への武器売却を大幅に拡大しました。
しかし中国はバイデン氏に対し、気候変動を巡る約束と引き換えにしてオバマ前大統領が取った融和政策に戻るよう圧力をかける公算が大きいと思われます。
また中国は、米高官の台湾訪問を認める現政権の方針を、バイデン氏が続けるどうかを見極めようとするでしょう。
それは台湾の自治に対する米国の関心度を示すからです。
バイデン氏がきっぱりと米国は台湾の防衛にコミットすると表明する可能性は低いでしょう。
しかし、台湾周辺海域における中国の脅威や軍事演習は増大の一途をたどっています。
もしバイデン氏がアジアの米同盟諸国を安心させたいのであれば、台湾は同氏にとって最初の大きな試金石となるでしょう。
バイデン 氏の覚悟
WSJ社説が指摘する通り、台湾はバイデン 氏にとって紫金石となるでしょう。
米国が台湾を守る意思が無いと中国が判断すれば、中国は武力制圧を行う可能性があります。
台湾が中国に吸収される様な事になれば、日本を含めたアジアの米国同盟国は総崩れの状態となり、中国に雪崩を打って接近していく事でしょう。
アジア諸国は米国の台湾に対するコミットメントを固唾を飲んで見守っています。
バイデン 氏は台湾の防衛をコミット出来ないにしても、その意思がある事を何らかの形で明確に中国に伝えるべきだと思います。
それは防衛装備品の売却や台湾海峡に近いエリアでの軍事演習等色々なやり方があると思います。
中国が米国の意図を勘違いして冒険を冒す様な事の無い様、米国は曖昧な態度は避けるべきと思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。