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根本的に変わった米政府のアフガン戦略

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「グレートゲーム」の舞台アフガニスタン

アフガニスタンという国は日本人には余り馴染みがない国です。

しかし、地政学的には非常に重要な国ですので、近代に入ってから大国間の抗争の舞台になってきました。

19世期にはロシアの南下政策を警戒する英国が、アフガニスタンがロシアの手に落ちれば、英国のインドにおける権益が危機に瀕すると、「グレートゲーム」と言われる抗争を繰り広げ、アフガニスタンが戦場となりました。

ロシアは旧ソ連時代にもアフガニスタンに侵攻しましたが、米国の軍事援助を受けたアフガニスタンのゲリラによって撃退されました。

この時、米国は敵の敵は味方とばかり現地武力組織に最新鋭兵器を供与しましたが、その後、米国はタリバン他アフガンの武装ゲリラに逆に悩まされる事になります。

中東離れを図る米国は、トランプ大統領がアフガニスタンの駐留米軍を引き上げるとタリバンに約束しました。

バイデン政権はどの様にアフガンの問題を解決しようとするのでしょうか。

タリバンだけではなくアルカイーダなどイスラム系テロリスト集団の巣窟となっているこの国から完全に米兵を引き上げれば問題が更に深刻になる恐れがあります。

米誌Foreign Policyが「In Race Against Time, Biden Officials Launch New Afghan Peace Drive」(時間との戦いだが、バイデン政権はは新しいアフガニスタン和平交渉を開始する)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy記事要約

米国がアフガニスタンから軍隊を撤退させる5月の期限が迫っている中、バイデン政権は同国のガニー大統領にタリバンとの和平協定を纏める様に圧力をかけています。

ガニー大統領への率直な書簡の中で、ブリンケン米国務長官は、「緊急のリーダーシップ」を示す様求めました。

ブリンケンは、タリバンとの政治的解決と停戦の早期実現のために米国がとるステップを説明し、歴史上最長の戦争から米国を脱出させるバイデン大統領の戦略を具体的に明らかにしました。

バイデンの国家安全保障チームは時間との戦いの中で、アフガン問題に取り組んでいます。

トランプ前大統領は、在任中の最後の年に、2021年5月1日までに2,500人の米軍をすべて撤退させる事をタリバンに約束しました。

 

ブリンケン氏は、米国は「今後数週間で」アフガニスタン政府とタリバンの間の和平交渉を主催するようトルコに要請するつもりであると述べました。

彼はまた、国連がアフガニスタンの平和へのアプローチを調整するために、米国の地政学的ライバルであるイラン、中国、ロシアを含む6つの国との会談を召集することを予定していると述べました。

 

書簡の提案は、20年以上の紛争の後、アフガニスタン政府とタリバンの間の最終的な和平合意を確保するためにバイデン政権が歩かなければならない不安定な外交の綱渡りを明らかにしています。

前の2人の大統領は、アフガニスタンから米軍を撤退させることを誓いましたが、タリバンや他の過激派グループを打ち負かす努力が繰り返し失敗したため、彼らの計画は崩壊しました。

アフガニスタンはバイデン 政権にとって最も複雑な外交政策の課題の1つであり、バイデンらが「永遠の戦争」と呼んだものを終わらせるという約束を果たすことができるかどうかの初期のテストです。

アフガニスタン和平交渉のアメリカの使節であるザルメイ・ハリルザドは、アフガニスタンの指導者達とカブールで面談しましたが、その後カタールのドーハでタリバンの指導者とも会っています。

米国の提案は、平和協定の原則と、「両者の合意に基づいて」大統領と副大統領が選ばれた「暫定平和政府」の創設を呼びかけました。

アフガニスタン大統領とアフガニスタン政府とタリバンからそれぞれ4人のメンバーで構成される合同停戦委員会が停戦を監視します。

米国側は、合意案の中で、最終的には「双方が自分たちの政治的未来を決定する」と強調しました。

 

ブリンケンはガニー大統領への手紙の中で、政権は国連にロシア、中国、パキスタン、イラン、インドからの使節を召集するよう要請すると述べました。

「これらの国々は安定したアフガニスタンに対して変わらぬ共通の利益を共有しており、私たちが成功するためには協力しなければならない」と彼は書簡に書きました。

ワシントンとモスクワ、北京、テヘランのライバル間の緊張を考えると、会議は和平交渉をさらに複雑にします。

歴史的なライバルであるインドとパキスタンがアフガニスタンに共通の基盤を見つけることができるかどうかは依然として不明です。

アフガニスタンで前進するための地域的コンセンサスを確保することは、包括的な平和と政治的発展に向けた困難ではありますが、重要なステップと見なされています。

アフガニスタンでの内戦は、パキスタン、インド、中国など、アフガニスタンの近隣諸国に国境を越えた問題を引き起こしました。

これらはすべて、ロシアとともに、国の未来を形作ることを熱望しています。

米国当局は、国際的な圧力により、アフガン政府とタリバンが暫定政府の条件を交渉する事を余儀なくされると信じています。

パキスタンは長い間、アフガニスタンにおけるインドの影響力について懸念を表明しており、一部のアナリストは、アフガニスタン和平交渉で米国を支配するためにイランがタリバンに侵入していると警告しています。

 

米国が和平交渉を主催することを望んでいるトルコは、アフガニスタンの対立する派閥から中立的な勢力と見なされています。

今月初め、アフガニスタンの外務大臣アトマールは、トルコが和平のための地域的合意に達するのを助ける上で重要な役割を果たすことができると述べました。

トルコ軍は、2001年以来、アフガニスタンでのNATO主導の国際連合の一部であり、10,000人の非戦闘部隊で構成されています。

 

ガニー大統領は過去に暫定的な権力共有政府の考えを拒否しました。

土曜日、立法国会への演説の中で、彼は、アフガニスタン政府が形成されるべき唯一の方法は、「国際社会の後援の下での自由で公正かつ包括的な選挙」によるものであると述べました。

大国間の合意成るか

バイデン 政権の構想通り、アフガンの和平交渉が進むか大変興味深いところです。

しかし、これが大変難易度の高い外交交渉であることは間違いありません。

アフガニスタンを地図の上で見ると、多くの大国の間の緩衝国になっている事がわかります。

ロシア、インド、イラン、パキスタン、中国などが利害関係を有しています。

大国のエゴに振り回されてきたのがこの国の運命でした。

しかし、アフガンはテロリストの巣窟となり、そこで生産される大量の麻薬はこれら大国を悩ましてきました。

ひょっとすると大国達がお互いの矛を収めて、アフガン問題で一致するかもしれません。

これからの交渉の進展が注目されます。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。