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南北統一を目指す文大統領ワシントン訪問に秘策はあるか

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世界で唯一民族統一されない朝鮮半島

韓国と北朝鮮は第二次世界大戦の結果、同一国民が二つに分裂した悲劇を未だに引きずっています。

ドイツもベトナムも分裂国家を克服しました。

朝鮮半島の統一は北朝鮮も韓国も国家目標として掲げていますが、なかなか実現しません。

韓国の文大統領は南北融和を最重要課題として掲げて来ましたが、彼の任期は残りわずかとなり、支持率はここのところ低迷を続けています。

今週末ワシントンで、文大統領はバイデン 大統領と会談を行う予定です。

文大統領としてはここで南北融和を一気に加速させて支持率の上昇を図りたいというのが本音でしょう。

彼のシナリオ通りに行くかについて英誌Economistが「South Korea is pushing America for new talks with the North」(アメリカに北朝鮮との新たな交渉を迫る韓国)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

英誌Economist記事要約

「With the Century」は北朝鮮の創設独裁者である金日成が、彼の英雄的な革命的功績を綴った約3,500ページの大書です。

右翼グループの弁護士であるド・テウは先月、韓国でこの回想録を出版した出版社に対して差し止め命令を提出しました。

この本を出版することは「反逆行為」であるとド氏は主張しました。

韓国の司法はこれに同意します。

1948年に施行された国家安全保障法では、北部の政権に有利な資料を配布することは、最高7年の懲役で罰せられます。

韓国政府は、北朝鮮の国家メディアへのアクセスをブロックしています。

ド氏が訴訟を起こしたとき、警察は回想録を発刊した出版社の捜査を開始しました。

書店はその販売を中止しました。

 

この古い法律は韓国と北朝鮮の基本的な関係が過去70年間でほとんど変化していないことを思い出させます。

条約上では、彼らはまだ戦争状態にあり、それぞれが相手の領土を含む合法的な政府であると考えています。

相手と対話することは依然として物事を改善する唯一の実行可能な方法です。

 

滅多に行われない対話がトランプ政権時代行われました。

北朝鮮に核兵器を放棄するよう求めた最新の外交は、金正恩とトランプ大統領との間のベトナムでの首脳会談で、2年前に崩壊しました。

昨年夏、国境都市ケソンにある韓国の事実上の大使館が爆破され、2018年初頭に始まった両国雪解けの象徴に終止符を打ちました。

北朝鮮はその後ミサイルのテストを再開し、韓国とアメリカに対する猛烈な批判を行っています。

 

任期満了を迎える文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5月10日、これを嘆き、物事を改善するための最後の努力を誓いました。

「朝鮮半島での対立と紛争の時代を終わらせ、平和と繁栄の時代の到来を告げることは、8000万人の韓国人の願望です」と彼は語りました。

北朝鮮との関係改善は、文大統領の政策の中心でした。

しかし、その目標達成は困難です。

ベトナムでのトランプ氏との首脳会談の失敗は、その後交渉担当者のほとんどを解任した金正恩に屈辱を与えました。

彼はアメリカからの新たな譲歩なしに韓国と話すことにほとんど関心がないことを明らかにしました。

新型コロナ感染が始まった時、彼は国境を閉鎖し、主要な貿易相手国である中国からも北を遮断しました。

封鎖は、金正恩に核兵器を放棄するよう求める国際的な制裁よりも、北朝鮮の経済に打撃を与えたようです。

北朝鮮は、国境を越えてチラシやお金を送る脱北者を抑制できなかったことについて、依然として韓国を糾弾していますが、その主張はこれまで以上に支離滅裂です。

「飛んでいる物体」(宣伝ビラなど)、さらには雪でさえウイルスを運ぶ可能性があると警告しています。

文大統領は5月21日にバイデン大統領と面談する予定です。

彼は行き詰まりを打開するための新たな試みに参加するようバイデン 氏を説得したいと思っています。

先月、バイデン政権は、詳細を明らかにすることなく、北朝鮮との外交に対する新しいアプローチを発表しました。

そこで北朝鮮を苛立たせることは何も言いいませんでした。

ソウルでのうわさは、北朝鮮がアメリカとのさらなる交渉の可能性に前向きに反応したかもしれないことをほのめかしています。

 

しかし、バイデン氏は他のさまざまな分野で外交政策の危機に直面しているため、朝鮮半島の優先順位はかなり低くなっています。

彼はまだ北朝鮮のトランプ氏の担当官であったスティーブン・ビーガンの後継者を任命しておらず、北朝鮮が本当に話したい場合、対話する相手がいません。

ソウルの政府系シンクタンクである国家安全保障研究所のソン・キヨン氏は、今後数週間で具体化されない限り、アメリカの新しい政策はバラク・オバマの「戦略的忍耐」と区別するのが難しいだろうと述べています。

 

他のつまずきも対話を妨げる可能性があります。

今週、ソウルの警察は、新しい法律に反対して、先月北にチラシを送った脱北者の朴相学に尋問しました。

彼は最大3年の懲役に直面する可能性があります。

文大統領が平和の推進を約束した同じ演説で、彼の政府が法を執行する以外に「選択の余地がない」事を強調して、朴氏の事件をほのめかしました。

バイデン政権は、北朝鮮と話すときは人権にもっと注意を払うべきだと主張しています。

文大統領は、来週ワシントン訪問の際、朴氏の動向が北朝鮮の悪行よりも短く報道されることを望んでいるでしょう。

当面難しい朝鮮半島統一

何故東西ドイツは統一されたのに、南北朝鮮は統一されないのでしょうか。

一番大きな障害は、それぞれの国の背後にいるアメリカと中国が統一を望んでいないからだと思います。

中国にとってみれば、北朝鮮という緩衝国があった方が都合が良いですし、米国も朝鮮半島に軍事基地を持つ事は、中国の脇腹にナイフを突きつけている様なものです。

南北朝鮮が統一をいくら望もうが、米中二大国の合意を取り付けられない限り、統一は実現しません。

文大統領は、バイデン 大統領に北朝鮮との融和策を迫るのでしょうが、成功する確率は低いと思います。

バイデン 大統領がもし朝鮮半島の統一を進めようとするならば、中国の合意を取り付けるために、一定の譲歩を行う必要があります。

中国を仮想敵と見なす超党派のコンセンサスが出来上がっている今のワシントンで、政権が中国に対して譲歩する事は許されないだろうと思います。

長い目で見れば、朝鮮半島の統一は達成されると思いますが、近い将来その実現は難しいというのが現状ではないでしょうか。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。