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G7での最も重要な議題 - 西側ワクチンの無償供与

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菅首相の訪米の目的

ニュースではあまり大々的に取り上げられませんが、外交交渉においてワクチンの供与は今や極めて重要な議題になっているようです。

一例をあげれば、先日の菅首相のワシントンでのバイデン大統領との面談ですが、台湾問題と並んで米ファイザー社のワクチンの日本への供与が需要な議題として討議された様です。

菅首相は現地でファイザー社社長とも直接面談して、同社ワクチンを訪米の手土産として誇示したかった様ですが、最後の最後にファイザー社がこの面談をキャンセルして菅首相が激怒したとの話がまことしやかに伝わってきています。

各国ともパンデミックで苦しむ中、ワクチンは特効薬として今や外交上の最大の切り札となっている様です。

来る英国でのG7でもワクチンが議論される事は必至ですが、英誌Economistが「The West is passing up the opportunity of the century - There could be no better advertisement for democracy and free markets than a rapid global vaccination drive」(西側は世紀のチャンスを逃そうとしている - 民主主義と自由市場の宣伝として、世界規模のワクチン接種キャンペーンに勝るものはありません)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

4 年間で 17.9% のリターンを得る投資を想像してみてください。

さらに良いことに、最初の支出は大した金額ではありません。

地球上の誰がそのような機会を逃すでしょうか?

それは、今週、年次サミットを開催する豊かな民主主義国のクラブG7 に関する物です。

世界にワクチンを接種するのに十分な速さで行動しなければ、彼らは世紀の取引の機会を逸します。

それは経済的に愚かであるだけでなく、道徳的な失敗であり、外交上の大惨事でもあります。

 

英国の首相であり、サミットの主催者であるボリス・ジョンソンは、寄付するために10億回分のワクチンを考え出すことを望んでいます。

アメリカも5億回分のワクチンを配ることを計画しています。

バイデン大統領は、大統領としての初めての海外訪問であるヨーロッパへの訪問において、アメリカとその同盟国が中国やロシアよりも多くのことを世界に提供できることを証明することを意図していると語りました。

.彼の優先事項は、ワシントンポストの最近の記事では、「このパンデミックを終わらせる」ことです。

寄付の話は寛大に聞こえるかもしれませんが、実際はそうでもありません。

必要な量の 5 倍の量を注文した英国は、今は少しずつしか配っていません。

一方で、供給が不十分な国々にワクチンを提供する国際的な取り組みである COVAX は、数十億ドル分ものワクチンが不足しています。

 

IMF の試算では、来年の4 月までに地球上の人口の約 70% を接種するには、500 億ドルしかかかりません。

ワクチンが世界に出資された場合、2025 年までの累積的な経済的利益は、世界の生産量の増加という観点から、9 兆ドルになります。

もちろん、多くの命が救われることは言うまでもありません。

費用は、G7 の GDP のわずか 0.13% に過ぎません。

これは、加盟国が他の国々を支援するために毎年費やすと約束した金額の 5 分の 1 です。

大きな国際的脅威に立ち向かうために結成されたグループが、人類に代わってそのような簡単な投資を行うことを決意できないのなら、何ができるのでしょうか?

 

バイデン氏はポスト紙の記事で、世界的な問題を解決するというアメリカの評判が近年ダメージを受けており、中国やロシアのような独裁国家が欧米の秩序に重大な挑戦を迫っていることを認めました。

しかし、アメリカとその同盟国は、ここ数カ月、世界の独裁者に統一戦線を提示するのに苦労しています。

EU はバイデン氏が就任する直前に中国との投資協定に署名したため、新しい米国の大統領を落胆させました。

一方、ドイツは、ロシアのガスを輸入するパイプラインシステムを拡張することで、ロシアに資金を提供することを決意しているようです。

 

バイデン氏は「アメリカが戻ってきた」と強調するのが好きです。

一見さわやかなスローガンにもかかわらず、連邦政府が国内のサプライヤーを優先することを義務付ける規則を強化するバイ・アメリカンの布告は、新しい国際主義というよりは、アメリカ ファーストの保護主義に似ています。

世界は、アメリカが戻ってきた実用的な証拠と、その背後にある同盟国を結集する能力に期待しています。

アメリカのリーダーシップの信頼性は、パンデミックとの闘いだけでなく重要です。

それは、地平線に迫るさらに大きな地球規模のテスト、つまり気候変動への取り組みに不可欠です。

 

アメリカが世界に貢献することよりも、後ろ足で砂をかけている様に見えた4年間の後、ワクチンはそのイメージを回復するための理想的な手段を提供します。

米国とその同盟国は、いくつかの非常に効果的なワクチンを開発し、記録的な速さでその生産を拡大することにより、優れた技術力を示しました。

したがって、彼らは、世界の他の地域に提供するために、具体的で緊急に必要なものを有しています。

バイデン氏は、アメリカのリーダーシップと、民主主義と自由市場の力を世界に示すこれ以上良い機会は得られそうにありません。

技術力と民主主義の勝利

ここで書かれている事に同感です。

現在ワクチンは先進国が独占している状態です。

これは発展途上国から見れば、金持ち国の利己主義にしか見えません。

そういう心理を突いて、中国やロシアはワクチン外交を展開しています。

私の愛するトルコでも中国のシノバック社のワクチンが導入され、いち早く接種が行われました。

しかし、トルコ人が中国製のワクチンを心底信用しているわけではありません。

彼らは本心では米国のファイザー社のワクチンを打ちたいと思っています。(ファイザーが組んだ独BionTech社の創始者がトルコ系ドイツ人というのも彼らの誇りです。)

もし、G7で民主主義国が自らの資金で迅速に世界にワクチンを配布すると決定するのであれば、これは発展途上国の民主主義国に対する見方を大きく変える事でしょう。

コストはリターンを考えれば極めて小さいのです。

すぐにやりましょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。