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日本株式会社は割安か- 日本企業買収を狙う海外勢

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村上世彰氏のDNA

先日の東芝の株主総会におけるもの言う株主の反乱は、日本のコーポレートガバナンスに一石を投じた事件でした。

現在東芝の筆頭株主はシンガポールに籍を置くエフィッシモ・キャピタル・マネージメント社ですが、同社の幹部は昔、村上ファンドで働いていたそうですから、村上世彰氏のDNAは今も受け継がれているようです。

今後、東芝に端を発して、日本企業を海外のファンドが買収する可能性が出てきているようです。

米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「Private Equity Gears Up for the Siege of Japan Inc.」(プライベートエクイティが日本企業買収に狙いを定める)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介しようと思います。

WSJ記事要約

プライベートエクイティファンド(PEファンド)は日本への関心を高めており、驚くほど高い収益を上げています。

由緒ある日本の電子機器メーカーである東芝のスキャンダルは、世界第3位の経済大国でPEファンドがどれだけ大きく成長できるかを示す試金石となる可能性があります。

 

東芝に対する具体的な買収案はありませんが、同社がPEファンドの魅力的なターゲットであることは間違いありません。

東芝は以前、英CVCキャピタルパートナーズからの200億ドル以上(約2兆2千億円)の買収提案を却下しました。

これは、実現すれば、日本で最大のPEファンド主導のバイアウトになるところでした。

アクティビスト投資家は、東芝の経営陣が潜在的な買い手の関心を好意的に捉える様要求しています。

 

米国とは異なり、日本ではPEファンドは大きな存在感を示していません。

コンサルティング会社のベインによると、日本では合併買収(M&A)の8%しかPEファンッドが関与していないのに対し、米国では15%です。

経済規模に比し、M&A活動が、米国やヨーロッパよりもはるかに少ないとのことです。

 

しかし、PEファンドは現在、日本でのチャンスを捉えようと準備しています。

データプロバイダーのPreqinによると、日本を中心としたPEファンドの運用資産総額は、昨年9月時点で350億ドルに上り、2015年末の2倍以上になりました。

これから投資される彼らの手元資金は149億ドルに達しています。

さらに、日本に特化した80のPEファンドおよびベンチャーキャピタルが昨年100億ドル(1兆1千億円)を調達したとPreqinは述べています。

たとえば、カーライルは昨年、日本のバイアウトファンドのために23億ドルを調達しました。

 

ガバナンス改革の進展の兆候は、関心の高まりを推進する一つの要因です。

東芝の例が劇的に示した様に、ものいう株主も勢いづいています。

その結果、企業は事業ポートフォリオを再評価するようになりました。

日本では株式持ち合いが長い間一般的でしたが、持ち合いが解消され始めています。

ゴールドマン・サックスによれば、日本企業は2020年に過去最高の472件のリストラの発表を行いました。

これは前年比56%の増加です。

 

PEファンドは、その様な日本企業の事業切り出しに関心を示しています。

ベインキャピタルが率いるコンソーシアムは、今年、日立金属を75億ドルで買収しました。

後継者のいない小規模な家族経営の日本企業も、PEファンドに別のチャンスを提供します。

 

日本は儲かる市場です。

Preqinによると、2008年から2018年の間に立ち上げられたファンドの内部収益率(IRR)の中央値は18.2%に達しました。

これは、すべての地域の中で最も高いものです。

北米に特化したファンドの収益率は16%でした。

 

それにもかかわらず、PEファンドは、野蛮な来訪者という従来のイメージとは異なり一般的に日本ではより友好的なアプローチを取ります。

アクティビストとしてより強く主張するヘッジファンドがが存在するため、日本企業はPEファンドの参加をより好ましい選択肢と見なしています。

取引にも時間をかける傾向があります。

東芝の例もそうですが、PEファンドが公に争いに飛び込むことはありません。

 外国人は日本企業に強い関心を示していますが、彼らはドアが内側から自発的にに開かれることを望んでいるので、残忍で血なまぐさい包囲攻撃を急いでいない様です。

PEファンドによる洗礼

プライベートエクイティファンド(PEファンド)は良くヘッジファンドと混同されやすいのですが、ヘッジファンドがさまざまな金融商品を組み合わせて、リスクを避けながらも高いリターンを狙うのに対して、 PEファンドは、資金を投資するだけではなく、投資先の企業の経営に関わるところに特徴があります。

彼らは企業の株式を購入するだけでなく、経営陣を送り込んで企業価値を高める経営を行おうとします。

考えてみれば、日本企業の経営者のほとんどはその会社生え抜きで、企業経営のプロではありません。

経営者になる前は営業マンやエンジニアとして優秀な成績を収めたかもしれませんが、経営は別物です。

素人が経営を任されているものですから、どうしても前例踏襲主義に陥りがちです。

海外のPEファンドは「日本の経営者は企業のポテンシャルを十分引き出していない。プロの経営者を送り込めば、業績を急速に回復できる余地がある。」と考えているのでしょう。

日本の場合、ハゲタカファンドというイメージがあるので、あまり評判が良くありませんが、今後日本企業が世界市場で生き抜くためには、PEファンドの洗礼は必要と思われます。

PEファンドの日本企業への投資が世界で最も収益を上げている事を考えると、今、日本企業は割安だと思います。

優秀な経営者に任せれば、業績は向上し、株価は高騰するでしょう。

それは株主、従業員にとって必ずしも悪い事ではないと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございます。