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ボルボを活性化させた中国企業の経営手腕

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グローバル企業を輩出するスウェーデン

スウェーデンは欧州の中では、ドイツやフランスなどに比べれば小国ですが、ビジネスの世界では存在感を発揮しています。

家具のチェーンIKEAやアパレルの巨人H&Mは世界に冠たる存在ですし、音楽ストリーミングのSportifyもスウェーデン生まれの大企業です。

世界の海で活躍したバイキングの遺伝子がグローバル企業を誕生させているのかも知れません。

今日ご紹介するVolvoもそんな企業の一つです。

英誌Economistが「Volvo’s IPO will keep it ahead in the electric-car race - And raise cash for its Chinese owner, Geely」(​​ボルボのIPOは、電気自動車の競争で同社のリードを可能にすると共に、同社のオーナーでである中国企業「吉利」に現金を調達する)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ボルボの車はスウェーデンの伝統を思い出させます。

安全性と環境への配慮とスカンジクールなデザインを組み合わせたブランドは、近年、ボルボが欧州から中国とアメリカにその市場を拡大するのに役立っています。

10月4日に発表された新規株式公開(IPO)は、「よりスウェーデン的でよりグローバル」になるだろうと、ボルボの社長であるサミュエルソン氏は述べています。

スウェーデン側では、ストックホルムに上場することで、ボルボの北欧のアイデンティティが強化されます。

世界的に、IPOは、急速に変化する自動車ビジネスを世界展開する上で、より多様な投資家のプールを利用するチャンスです。

また、サミュエルソン氏は、2010年にフォードから18億ドルでボルボを買収して以来、ボルボを所有している中国企業である「吉利」との関係に大きな変化はないだろうと強調しています。

吉利は筆頭株主であり続ける意向であり、両社は引き続きコストと技術を共有していきます。

 

吉利が2018年にボルボのIPOを断念したとき、表面的な理由は中国と西側の間の迫り来る貿易戦争でした。

実際には、この決定はおそらく、会社が300億ドル(3兆3千億円)の価値があると誰も考えていないことと関係がありました。

その評価は今ではより合理的に見えます。ボルボはフォードの所有の下で損失を出し、同社が所有していたい最終年に374,000台しか生産しませんでした。

一方、吉利の下では、6月までの12か月で773,000台を生産し、しっかり利益を出す会社に生まれ変わりました。

2025年までに年間120万台の自動車を製造するとの目標も達成可能に見えます。

また、ディーラーを通じてではなく、サブスクリプションで直接消費者に車を販売する方法をリードしています。

さらに重要なことに、ボルボは、ドライバーと投資家の間で電気自動車(evs)に対する高まる欲求を同様に満たすという点で、ほとんどのライバルに先んじています。

競合先に先んじて2030年までにすべて電気自動車にする事を約束しました。

スウェーデンの電池会社であるノースボルトと協力して、ギガ電池ファクトリーを建設し、供給を確保しました。

また、先月、純粋な電気自動車ブランドであるポールスターの半分を所有しています(そして200億ドルの評価を取得することが期待されます)。

製造能力と小売およびサービスネットワークをボルボに頼ることで、ポールスターは、どちらかを欠いているほとんどのライバルのEVスタートアップよりも有利な位置に置かれます。

 

吉利は、ボルボを完全に所有してから10年ほど経った後、十分な利益を手にするでしょう。

中国企業は支配的な株式を保持しますが、今回のIPOにより、さまざまな自動車メーカーを所有する持ち株会社から、輸送サービスの提供を可能にするスマートフォンや衛星を製造する輸送技術グループへの再編成、更には自動運転車の開発が可能になります。

ボルボは、その一部として、IPOで30億ドル近くを調達することを期待されています。

サミュエルソン社長は、自動車メーカーがその電動化の勢いを維持する必要があると言います。

もしそうなら、ライバルは彼らに追いつく必要があります。

中国勢の野望

ボルボは米国を代表する自動車企業フォードの下で、会社の業績は低迷し、電気自動車への取り組みも不十分でした。

しかし、中国企業に買収されるや否や、その輝きを再び取り戻し、電気自動車への取り組みにおいても世界をリードする存在になりました。

これが何を意味するかですが、世界の最先端の技術をボルボから吸収しただけではなく、中国の経営者はボルボを活性化させ、電気自動車の一大ブランドに育て上げたという事です。

中国恐るべしであり、彼らの経営能力を過小評価してはならないと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。