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若者の起業熱高まる韓国

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韓国の経済成長

1990年頃、初めて韓国を訪れました。

その頃の韓国は日本と比べれば遅れが目立ちました。

韓国車にも乗りましたが、日本車と比べれば、乗り心地も装備も明らかに劣っていました。

特に内部のプラスチックはいかにも安物感があり、韓国産業界のレベルがまだまだである事を示していました。

その頃、韓国企業は日本の技術者を週末に韓国に招いて、日本の技術を熱心に学びとろうとしていました。

その後、日韓共催ワールドカップが開かれた2002年にソウルを再訪した際、韓国が急速に進歩してきた事を感じました。

昔は「安かろう悪かろう」だった韓国車は、今や米国市場でも高い評価を受けている様で、昨年の新車初期品質調査では、日本勢や欧米勢を押し退けて、韓国の起亜自動車が首位となりました。

韓国の一人当たりのGDPは日本を追い抜く勢いです。

現在韓国最大の時価総額を誇るサムスン電子の価値は約47兆円で、日本最大のトヨタの31兆円を大きく上回っています。

そんな韓国で、若者が起業を活発に行なっている様です。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Big Tech Startups Spring Up in South Korea」(韓国でITスタートアップ企業台頭)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

韓国はITスタートアップの中心地になりつつあります。

CB Insightsによると、バイオテクノロジー、配車サービス、オンライン決済などの分野で新しいビジネスが出現しており、韓国には現在10のユニコーン、つまり10億ドル(1,100億円)を超える価値のあるスタートアップ企業があります。

この数はアジア太平洋地域において、はるかに人口の多い中国とインドに次いで、3番目です。

3月、地元のeコマース大手CoupangIncがニューヨーク証券取引所に上場しました。

FactSetによると、火曜日の時点での市場価値は約690億ドル(約7兆6千億円)でした。

ビデオゲーム開発会社のKraftonInc社は、8月の新規株式公開(IPO)に向けて準備を進めており、最大規模は4.3兆ウォン(約4,200億円)に相当し、韓国取引所史上最大級になる可能性があると述べています。

これらの新興企業の台頭は、家族経営の財閥によって長い間支配されてきた韓国経済において注目に値します。

財閥として知られるグループは、スマートフォンや半導体などの分野で有名なサムスン電子やSKハイニックスなど、韓国で最も有名なハイテクビジネスのいくつかを生み出してきました。

銀行家、投資家、起業家は、韓国で新興企業が繁栄するのにいくつかの特徴が役立ったと述べています。

この国には裕福で技術に精通した国民が存在し、そのほとんどが超高速モバイルブロードバンドが普及しているいくつかの大都市に集中しています。

韓国の人口は約5200万人で、テキサスとフロリダを合わせた人口よりわずかに多いだけです。

ベンチャーキャピタル会社AltosVentures の共同設立者であるキム氏は、「投資家は韓国が小国だと考え、見過ごしてきた。しかし、国民の携帯電話利用度や豊かな購買力を考えれば、韓国は大きな潜在力を秘めている。」と語りました。

市場調査会社によると、韓国ではほぼすべての世帯がスマホを所有しており、大きなオンライン市場を生み出しています。

そして、消費者は変化をいとわないことが明らかになっています。

全国の小売全体に占めるEコマースのシェアは世界で最も高く、60%以上の人がオンラインで銀行を利用しており、シンガポールなどの他のアジア市場やドイツなどの主要経済国よりも高くなっています。

 

ビバ リバプリカ社のCEO兼共同創設者であるイ スンガン氏は、韓国の規模は、大規模市場にありがちなスタートアップ企業間の市場支配を巡る消耗戦を避ける上で役立つと語りました。

新規事業に最初に参入した企業は通常優位が得られ「資本、人材、市場の面で、勝者が総取りできる」ということです。

同社が運営するTossアプリは支払いや株取引を含むさまざまな金融サービスを提供しています。

同社は、最近、70億ドル以上の評価を受け4億ドル以上の資金をベンチャーキャピタルから調達しました。

さらに、イ氏は、韓国政府がスタートアップ企業を支援していると述べました。

これは、大手テクノロジー企業が規制当局による監視の強化に直面している中国、米国、ヨーロッパとは対照的です。

 

ビバ・リパブリカのイ氏は、財閥がリードする重工業産業の経済的な重要性は、ソフトウエアなどのIT産業に比べて低下していると話します。

世代間での変化は明白で、大卒者はより大きな金銭的報酬を期待し、スタートアップ企業で働くことに一段と引かれるようになっています。

「10年で韓国の企業勢力図は大きく変わるだろう」とイ氏は語りました。

若者が新しいビジネスを生み出す韓国

今回のWSJの記事は、韓国が自動車や半導体など主要な製造業において世界最高峰レベルにあるだけでなく、若者がITの分野で起業を活発に行なっている事を示しています。

日本のSNSをほぼ独占しているでLINEも韓国企業ですし、IT分野で起業を企てる韓国の若者が多い様です。

我が国にも韓国と同様に優秀で意欲のある若手がいる筈です。

しかし、彼らの活躍が阻まれているのは、日本社会が変化に寛容でなく、がんじがらめの規制が存在するからだと思います。

「韓国の国民が変化をいとわない」との記述がWSJ記事にありましたが、日本社会も進取の気性を取り戻す必要があります。

ソニーもホンダも最初はスタートアップ企業だったのです。

若者の起業を支援しましょう。

それが日本が元気を取り戻す秘訣なのではと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。