カブール国際空港の運営は継続可能か
タリバンに対する地方軍閥の反乱が起きたと報じられていますが、大勢としてはタリバンがアフガニスタンを制定したのは事実の様です。
タリバンが過去にアルカイダを国から排除しなかったとか、麻薬取引で運動資金を得ていたとか芳しくない評判は数多くありますが、今後彼らが支配するアフガニスタンという国と向き合う必要が出てくると思われます。
その場合、西側諸国は彼らとどの様に対話を行うべきでしょうか。
中国やロシアはタリバン政権をいち早く承認しており、西側も現実から目を背けるわけにはいきません。
一方、タリバン側も西側とのチャンネル確立に動き始めている様です。
空港での自爆テロ事件ではタリバン側も犯行声明を出したIS(イスラム国)に対して、直ちに非難声明を出しており、自分たちはテロ組織とは一線を画していることを強調しています。
ロイターがこの点について「NATO allies struggle to keep Kabul airport open for aid after withdrawal」(NATOの同盟国は、撤退後も、カブール空港を国際援助受け入れのために運営を継続すべく交渉中)と題したニュースを発信しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
ロイター記事要約
カブール空港は、タリバンから逃げようとする人々や、旱魃や内戦で飢餓に苛まれる人々を救うための人道援助にとって命綱ですが、木曜日にゲートの外で致命的な自爆テロに見舞われました。
トルコは、その軍隊がアフガニスタンを離れる8月31日の期限後も空港を運営するための技術支援の提供についてタリバンと話し合っていますが、自爆テロによって空港運営の専門家を保護するためにトルコ軍が駐留する必要性が出てきました。
トルコはタリバンがそのような条件を受け入れるかどうかを明らかにしておらず、エルドアン大統領は、トルコはカブールへの飛行を「急いで開始するつもりはない」と述べました。
しかし、援助団体は、4年間で2回の干ばつに見舞われ、人口のほぼ半分である1,800万人が国際援助に依存している国への人道的物資の配送を維持する必要性があると述べました。
米国務省のスポークスマン、ネッド・プライス氏は金曜日、米国と同盟国の航空交通専門家が「カブール空港の商業運転の再開について検討し、米国は円滑な運営を促進するためにすべての関係者と協力している」と述べました。
しかし、「米軍が8月31日までに出国することになっているので、9月1日に通常の空港運営が行われると期待するのはおそらく無理だと思う」とも述べました。
プライス氏は、タリバンも空港が機能する事を望んでいると述べました。
国防総省は、いくつかの国が空港の運営を維持するためにタリバンと協力する用意があると述べました。
トルコという選択肢
タリバンと最も近い国はおそらくパキスタンでしょう。
しかしパキスタンは中国との関係が深い上に、同国政府がタリバンを軍事的に支援していたのは公然の事実ですので、米国を初めとした西側諸国はパキスタンを通じてのタリバンとの会話には躊躇するでしょう。
そんな中でトルコが存在感を発揮しようとしています。
トルコはNATOのメンバーですが、国民の大部分がイスラム教徒であり、タリバンとも一定のパイプがあります。
トルコ自身も最近欧米との関係がぎくしゃくしている事から、今回タリバンとの仲を取り持つことにより、欧米との関係改善を図ろうという計算もある様です。
日本の駐アフガニスタン大使館もイスタンブールに移り、臨時事務所を開設した様です。
茂木大臣が先週トルコで同国首脳とも面談した事から、日本としてもトルコ経由でタリバンとの会話を行おうと考えている様です。
未だに多くの日本人関係者が現地に取り残されている様ですが、先ずは彼らの救出をトルコと共に考える必要があります。
1985年イランイラク戦争の際に、テヘランに取り残された日本人200名以上を救出してくれたのはトルコ航空機でした。
親日の国トルコが一肌脱いでくれることを期待しましょう。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。