初めてのサミット
バイデン大統領が主宰する「民主主義サミット」は国内外で賛否両論が渦巻いています。
そもそもどの国を招待するかという点で、かなり疑問が生じていることは確かな様です。
バイデン大統領のお膝元米国では、この催しはどの様に評価されているのでしょうか。
バイデン政権には辛口の保守系新聞ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「Who’s Afraid of Nathan Law? China.」(ネイサンローを恐れているのは誰ですか? 中国です。)と題した社説を発表しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ要約
香港保安局長のクリス・タンは、バイデン大統領が今週開催する「民主主義サミット」への関心を高める様な贈り物をするつもりはなかったでしょう。
しかし、彼は、大統領の招待者の1人、元香港立法会議員のネイサン ローを非難した時、まさにそれをやってしまいました。
7日、タン氏は、ロー氏が講演への招待を受け入れたことに「激怒した」と語りました。
ロー氏は民主主義運動の元学生リーダーであり、2014年の抗議行動を主導し、2016年に市の立法会に選出されましたが、その後、就任宣誓の際に規定通りに行わなかった為解任されました。
彼は現在ロンドンに亡命しており、10日にスピーチを行う予定です。
タン長官は元香港警務処長であり、中国政府の意向を受け入れ、厳しい取り締まりをおこないました。
昨年、米国から制裁を受けています。
中国の国営通信社の新華社も、「民主主義を武器にし、覇権を維持するための手段として使用する」試みとして、バイデン氏の主宰するサミットを攻撃しました。
中国外務省のスポークスマンは、バイデン政権が台湾代表を参加させたことに反対しました。
ホワイトハウスが自由で繁栄した中華圏の代表である台湾からの代表者を招待していなかったならば、真のスキャンダルになっていたでしょう。
香港の裁判所は、昨年6月4日の天安門事件の追悼集会に参加し、他の人を扇動した罪で、3人の民主化活動家(ジミー ライ、グウィネス ホー、チョー ハングタング)を有罪としました。
当局は、新型コロナ感染に対する懸念のために、記念式典が違法であったと主張しています。
しかし、それは1989年の天安門事件での大虐殺を誤魔化そうとする試みの一部です。
民主主義サミットは、どの国が招待され、どの国が招待されていないかについて批判を受けています。
それは正当な指摘です。
しかし、ロー氏と台湾のオードリー タン氏に対する中国の猛烈な非難が何らかの兆候であるならば、サミットはすでに建設的な影響を及ぼしています。
中国は権威主義的モデルを世界中に広めることを望んでいますが、民主主義に対する中華圏の人々の声は、自治がいかに貴重であり、人々が大きな個人的リスクがあっても自治のために戦うことをいとわないかを示しています。
民主主義は生き残れるか
先日、中国が経済を武器にし、軍事を武器にする米国に対して東南アジアで優位にゲームを進めているとするシンガポールの学者の論文をご紹介しましたが、米国のもう一つの武器は自由と民主主義という理念だと思います。
軍事に比べると中華圏の人々には、こちらの方が訴えるものが強いと思います。
しかし、民主主義国も最近は必ずしもうまく行っている訳ではありません。
新型コロナ対策一つ取ってみても、中国の方がワクチン接種もロックダウンも効率よく行っています。
欧米ではワクチンを受けない自由を主張する人が多く、なかなか接種率が高まりません。
しかしこの効率の悪さが民主主義の一面でもあると思います。
個人の意見を無視しても効率をあげるかその逆を行くのか、これから長い戦いが続きそうです。
最後まで読んで頂き、有難うございました。