MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

インターネットの進化が大きく変える世界秩序

f:id:MIYOSHIN:20211218182557j:plain

インターネットの新しい時代

Web 3.0という言葉を聞いた事あるでしょうか。

実は私も最近この言葉を初めて聞いたのですが、今後のインターネット世界のことを指す言葉だそうです。

インターネットの初期はWeb 1.0と称されるそうですが、その頃のネットの世界は一方通行で、静的なウェブサイトを閲覧するというのがもっぱらの使用法でした。

その後ネットの通信速度が早くなるにつれて、Web 2.0の世界が出現しました。そこではネットの利用法は双方向となり、SNSを使って世界の人々と繋がる事ができる様になりました。

Web 1.0では使用者は一部のヘビーユーザーに限られていましたが、iPhoneの様なスマホの普及もあり、Web 2.0ではネットの世界が一般大衆に解放されたのも大きな特徴です。

Apple, Google, FacebookといったいわゆるBig Techの影響力が増したのもこの時代でした。

随分便利になったネット環境ですが、弊害も多く見られる様になりました。

ビックテックが集める個人データは知らない間に広告などに流用され、情報漏洩の事故も頻繁に起きる様になりました。

更には国がネット検閲を行う様なところも出てきました。

既にネットはWeb 3.0の時代に入ろうとしています。

それはブロックチェーン技術を応用した分散型ネットワークの登場です。

そこではビックテックの様な企業或いは政府が情報を管理する訳ではありません。

この新しい時代の到来に際して、米誌Foreign Policyが「Great Protocol Politics - The 21st century doesn’t belong to China, the United States, or Silicon Valley. It belongs to the internet.」(世界を牛耳るインターネット - 21世紀は中国や米国やシリコンバレーのものではありません。インターネットが牛耳ります)と題した論文を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy論文要約

最近のエッセイで、政治学者のイアン ブレマーは、ビッグテック企業が世界秩序を再構築すると主張し、コラムニストのスティーブン ウォルトは、これに反論し、国が引き続き支配的だと主張しました。

私たちは3番目の見方をします。

テクノロジーはすでに世界秩序を変えただけでなく、企業と国家の両方の性質も変えています。

21世紀は、中国や米国のものではありません。また、テクノロジー企業のものでもありません。

それはインターネットのものです。

 

おそらく最も重要なのは、ビットコインやイーサリアムのように、国や企業によって管理されていない分散型プロトコルの台頭です。

世界的なテクノロジー企業の弱点は、彼らが通常、米国または中国に本拠があり、契約執行のためにそれらの法制度に依存していること、そして彼らの権力の行使はすでに世界的な反発を引き起こしている事が挙げられます。

これらの問題は、伝統的な国民国家の境界を越えて財産を保護し、契約を履行することができる暗号プロトコルの導入によって解決されます。

この新しいテクノロジーの普及は、デジタル世界を超えて様々な分野で大きな影響を及ぼす事になりそうです。

 

マッキンダー派の伝統的な地政学は、国家間の位置関係に依存しています。

ロシアと日本の距離関係は永遠に変わりません。

しかし、インターネットの世界は違います。

2人の間の距離は、地球上の移動時間ではなく、ソーシャルネットワーク上の距離です。

つまり、誰もがソーシャルネットワークでフォローするだけで他の人の近くに身を置くことができます。

すべての市民は、インターネットにアクセスできれば、、画面を介して在宅勤務し、毎日数時間をクラウドで過ごすことで、別の国の市民になることさえできます。

物理的な移民は必要ありません。

 

新聞で何が起こったのか考えてみてください。まず、新聞はすべてオンラインになりました。

同様の運命は国の通貨に降りかかるでしょう。

すでに国の通貨は暗号通貨と競合しています。

これは、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)が導入されてより加速します。

私たちは世界的な金融競争の時代に突入しようとしています。

日本円のデジタル版は、スイスフランやビットコインなど他の資産との直接のグローバル競争に突入します。

誰もが常に外国為替トレーダーになり、最強の通貨、または暗号通貨だけが生き残るでしょう。

 

エストニア、シンガポール、台湾、アラブ首長国連邦、チリなど、さまざまな国が、「遊牧民ビザ」と呼ばれるプログラムを通じて、外国の才能を求めています。

ネットを通じた外国の人材活用は今後加速化するでしょう。

 

30年間の介入、侵略、制裁と監視の後、米国はもはや国際秩序の公平な仲裁者であるとして信頼されていません。

もちろん、中国もルールに基づく秩序の擁護者であると主張することはできません。

しかし、国際的なルールを作るという目標自体は望ましいものです。

少なくとも商業分野では、小国がますます「インターネット上の国際ルール」と呼ばれるものに目を向けると信じられます。

まだ初期の段階ですが、強制力のある国際法は、国際貿易の文脈では、分散型スマートコントラクトを可能にします。

そして、貿易を超えて、暗号化プロトコルは言論の自由やプライバシーのような市民の自由に国境を越えた保護を提供します。

Web 3.0の長所

Web 3.0の導入によって何が変わるのでしょうか。

まずデータの所有権がユーザー自身になるため、今の様にユーザーの知らないところで、個人データが取引される様なリスクが解消されます。

次にWeb 3.0は現在の様なサーバーを通じた取引ではなく、ピアツーピア取引によって直接ユーザー同士が繋がる事ができます。

最後に、中央集権的にデータを取り扱う組織が存在しませんんので、政府の検閲を受けにくい事が挙げられます。

今まで、我々は政府が存在するのが当たり前の様に思ってきました。

我々は何を国に期待しているのでしょうか。

例えば自分たちが持っている財産を裏付けてくれる機能だったりするのかも知れません。

しかし、その機能がブロックチェーンを使った技術によって置き換えられるとすれば、政府の存在価値はかなり薄れるかも知れません。

この論文の筆者が唱える様に、国際的なルールが出来あがれば、現在政府が果たしている役割の多くはWeb 3.0の時代には不要になってしまう可能性があります。

もちろん、既得権益を持つ政府の人たちはこの流れに強く反対すると思いますので、直ぐに実現するとは思えませんが、Web 3.0は国境を取り払うパワーを秘めています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。