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英誌Economist岸田首相の新資本主義を斬る

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「新しい資本主義」とは何か

岸田政権は支持率の面では上場の滑り出しを示しています。

「国民の声に耳を傾ける政治」というキャッチフレーズが評価されている模様で、野党もソフト路線の首相を攻めあぐねている様です。

しかし、彼が提唱する「新しい資本主義」の中身は未だ明らかにされていません。

この点について英誌Economistが「Kishida Fumio’s “new capitalism” is many things, but it is not new 」(岸田文雄の「新しい資本主義」は盛り沢山だが新しくない)とする記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

岸田首相のスローガンである「新しい資本主義」は少なくとも新しいアプローチを約束しているように見えます。

しかし、その考えは古いアイデアと中身のない流行語の寄せ集めの様です。

岸田氏の政策リストには、賃金の引き上げ、新興企業の育成、地方の活性化、炭素排出量の削減が含まれています。

すべて賢明なアイデアですが、目新しいものはほとんどありません。

 

何十年も停滞している賃金を取り上げましょう。

賃金上昇が経済を活性化すると岸田首相が指摘するのは正しい事です。

先進国の基準では低い平均最低賃金(1時間あたり930円)を大幅に引き上げることや同一労働同一賃金法を厳格に実行させたり、労働者の会社間の移動を容易にする事も可能です。

しかし岸田氏は、それらの代わりに一部の公的部門の従業員に1回限りの昇給を行い、民間企業に同じことをするように働きかけました。

2012年から2020年まで首相を務めた安倍晋三氏は、同様の政策を実施し、ほとんど役に立ちませんでした。

 

もう1つの慢性的な問題は、日本の労働力の減少です。

より多くの外国人労働者を受け入れるという選択肢もありましたが、首相は、代わりにパンデミックが始まって以来、ほとんどすべての外国人入国を禁止する厳格な国境政策に固執し、1633年から1853年の鎖国時代になぞらえました。

気候変動に関する新しい考え方には、炭素排出量への課税と石炭の廃棄が含まれる可能性がありましたが、岸田氏は産業界を尊重して両方の政策に抵抗しました。

 

古いアイデアも彼の政策に盛り込まれています。

岸田氏の「田園都市国家構想」は、農村を復活させるためのデジタルインフラへの投資であり、1970年代に大平正芳元首相が提唱した「田園都市」のコンセプトをアップデートしたものです。

この計画を実現するために、彼は大規模な財政刺激策と比較的緩い金融政策、すなわち安倍氏が「アベノミクス」の3本の矢と呼んだものの最初の二つに依存します。

 

岸田氏の下での最大の変化は言葉の上でした。

彼は、不平等と貧困を悪化させる「新自由主義」に反対しています。

「改革」という言葉は、岸田氏の語彙には事実上ありません。

岸田氏の政策は、彼の国の病気に関する誤診を明らかにしています。

日本は新自由主義の要塞ではありません。

それは多くの先進国より平等です。

日本の場合、不平等の拡大よりもダイナミズムの欠如が問題です。

 

岸田氏の唱える「新資本主義」に一貫性があるとすれば、それは国内政治に関する部分でしょう。

新自由主義の悪に対して説教することは、野党から有用な論点を奪います。

アベノミクスを批判することで、まだ影響力を持つ前任者との差別化を図ることができます。

非常に慎重なコロナ政策は、菅前首相を政権から引き摺り下ろした無関心層の非難から隔離します。

有権者は満足しているようです。

岸田氏の支持率は60%近くにとどまっています。

 

パンデミックに関連した大きな挫折がなければ、彼は今年の夏に予定される参議院選挙で勝利が見込めます。

その後、岸田氏は次の総選挙まで3年の猶予があります。

その間、何か新しいことを考え出すのに十分な時間があります。

国民に優しげな政策の危うさ

なかなか厳しいEconomistの指摘ですが、痛いところを突いていると思います。

現在の岸田政権は、今年6月の参院選挙まで支持率を維持する事に専念し、安全運転に終始している様です。

長期政権の目処がたてば、エッジの効いた政策を展開してくれると筆者は期待していますが、どうなるでしょうか。

次世代の日本が再び輝ける様な国造りを進めてくれると良いのですが。

国民も一見優しげなばらまき政策などに騙されない様にした方がよさそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。