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AIは不老長寿の薬を可能にするか

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AIがもたらすものとは

AIはChat GPTの登場により、私の様な素人にも身近な存在になりましたが、AIの進化により将来どんな変化が人類にもたらされるのか良く理解できません。

英誌エコノミストがこの点について「Ray Kurzweil on how AI will transform the physical world」(Ray Kurzweilが語る - AIが現実世界をどのように変えるのか)と題した記事を掲載しました。

著者のKurzweil氏は著名なコンピューターサイエンティストだそうです。

えっと驚く様な内容ですので、ご紹介したいと思います。

Economist記事要約

今日生まれた子供たちが幼稚園に入る頃には、人工知能(AI)は科学から創造性まで、あらゆる認知タスクで人間を超えているでしょう。

2029年までにそのような汎用人工知能(AGI)が登場すると私が1999年に予測した時、私は科学者から小説家に転向したのかと言われました。

しかし、ここ数年の目覚ましい進歩から、多くの専門家がAGIはさらに早く登場すると考えています。

 

この分野で61年間も働いてきた私としては、AIが世界的な話題になったことを嬉しく思っています。

しかし、ほとんどの論評では、Chatgptのような大規模な言語モデルがさらにどの様な物語を生み出すのか見逃されています。

AIは、デジタル世界だけに革命を起こすのではありません。

物理的な世界も飛躍的に変革しようとしています。

特にエネルギー、製造、医療の3つの分野に大きな影響を及ぼします。

 

過去2 世紀にわたって、世界は汚染物質を排出する化石燃料を必要としてきました。

しかし、地球が受ける太陽光のわずか 0.01% を採取するだけで、人類のエネルギー消費量をすべて賄うことができます。

しかし太陽エネルギーは未だ主流のエネルギー源になっていません。

なぜでしょうか。

 

問題は 2 つあります。

まず、太陽光発電材料は依然として高価で効率が悪い事です。

次に、太陽光発電は安定して発電できないため、大量のエネルギーを貯蔵する必要があります。

そして、今日のバッテリー技術はコスト効率が十分ではありません。

それは探究すべき化学的可能性の範囲が広すぎるため、技術の進歩は痛ましいほど遅いのです。

 

対照的に、AI はシミュレーションで数十億の化学物質を迅速にふるいにかけることができ、

すでに太陽光発電とバッテリーの両方でイノベーションを急速に加速させています。

2023 年 11 月までに、人類は使用可能な無機化合物を約 20,000 種類発見しました。

その後、Google の Gnome AI ははるかに多くの化合物を発見し、その数は一夜にして 421,000 種類に増加しました。

しかし、これは材料科学の応用のほんの一部にすぎません。

はるかにスマートな AGI が完全に最適な材料を見つけると、太陽エネルギーはほぼ無料で利用できる様になるでしょう。

 

食品や衣類から電子機器や自動車まで、ほぼすべての商品の製造コストは、エネルギー、労働 (研究開発や設計などの認知労働を含む)、原材料などの要因から生じています。

AI は、これらすべてのコストを大幅に削減するでしょう。

AI はロボット工学で大きな進歩を遂げており、人件費を大幅に削減できます。

又、ロボット工学は原材料の抽出コストも削減し、AI は高価なレアアースをジルコニウム、シリコン、炭素ベースのグラフェンなどの一般的な元素に置き換える方法を見つけています。

これらを合わせると、ほとんどの種類の商品が驚くほど安価で豊富になります。

 

これらの高度な製造能力により、コンピューティングの価格性能は、過去 1 世紀の指数関数的な成長軌道を維持できます。

今日の最先端の AI チップは、次世代チップの設計を最適化するために使用されます。

一ドルあたりの 1 秒間の計算能力で言えば、昨年 11 月に入手可能な最高のハードウェアは 480 億の計算を実行したのに対し、Nvidia の新しい b200 GPU は 5,000 億を超えます。

 

生物学をシミュレートするために必要な巨大な計算能力を構築すると、AI による第 3 の物理的革命である医療が実現します。

200 年にわたる劇的な進歩にもかかわらず、人体に関する私たちの理解は、いまだに大抵の患者にはほぼ当てはまるが、あなたにとって完全に当てはまるとは限らないというレベルです。

 

しかし、AI は医療を精密科学に変え始めています。

実験室での骨の折れる試行錯誤の代わりに、分子バイオシミュレーション (人体と薬の作用の研究に役立つ精密なコンピューター モデリング) は、最も有望な薬を見つけるために数十億の選択肢を迅速に評価できます。

昨年の夏、AI によってエンドツーエンドで設計された最初の薬が、肺疾患の治療薬としてフェーズ 2 の治験に入りました。

AI によって非常に豊富なデータがシミュレーションに組み込まれるため、新薬発見と治験の両方が強化されます。

2022 年までに、科学は約 19 万種類のタンパク質の形状を決定しました。

その年、DeepMind の AlphaFold 2 は 2 億種類以上のタンパク質を発見し、新しい治療法の開発を支援するために研究者に無料で公開しました。

 

より大規模なシミュレーションを正確に作成するには、更なる研究が必要ですが、今後のロードマップは明らかで、AI はタンパク質複合体をシミュレートし、次に細胞小器官、細胞、組織、臓器、そして最終的には全身をシミュレートします。

 

これは最終的に、費用がかかり、リスクが高く、時間がかかる今日の臨床試験に取って代わることになります。

デジタル試験により、個々の患者に合わせて薬を調整できるようになります。

その可能性は息を呑むほどです。

がんやアルツハイマー病などの病気だけでなく、老化そのものの有害な影響も治せるのです。

 

今日、科学の進歩により、平均的なアメリカ人やイギリス人は毎年6~7週間余命が延びています。

AIによって細胞生物学を完全にマスターできれば、こうした進歩は急激に加速するでしょう。

平均寿命の年間増加が12か月に達すると、「長寿脱出速度」が達成されます。

健康的な習慣を熱心に実践し、新しい治療法を使用する人にとって、これは2029年から2035年の間に起こると私は考えています。

その時点では、老化によって年間死亡確率が上がることはありません。

また、コンピューティングの飛躍的な価格性能の向上により、最初は高価だったAI主導の治療法がすぐに広く利用できるようになります。

 

人類がその誕生からずっと縛られてきた限られた寿命からの解放とも言える長く健康的な一生はAIがもたらす最も革新的な約束です。

不老長寿の薬に手が届くか

AIなんて大した事ないといった論調もある中で、上記記事の内容には驚かされました。

上記記事に書かれている事が本当に実現されれば、人間の生活に極めて大きな変革がもたらされる事になります。

特に「長寿脱出速度」には驚かされました。

それも今から10年足らずの間に達成されるとは。

古くから不老長寿の薬は多くの英雄が求めてきたものですが、それが一般市民の手に届くものになるとすれば、一大革命です。

上記の予測通りに物事が進むか疑問はありますが、長寿脱出速度が達成されるまで精々節制に努めたいと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。