円安が拍車をかける外人の不動産熱
最近の円安は日本で売られているものの価格をドル換算で大きく下げました。
筆者も最近頻繁に海外に行きますが、以前は日本に比べて物価が安いと思ったトルコの様な国でも物価が高いと感じる様になりました。
日本人の旅行客は海外旅行先で円安に苦しめられますが、逆に外人旅行客にしてみれば、今の日本は格安に感じられるでしょう。
彼らが秋葉原や銀座で爆買いするのも無理はありません。
そして彼らはもっと高い買い物にも触手を伸ばしている様です。
それは東京の不動産です。
米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「The Exodus of China’s Wealthy to Japan」(中国富裕層の日本への脱出)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事要約
昨年、中国出身で金属貿易会社の経営者である林さんは東京に移住した。
彼はすぐに日本の名前を採用し、ウォーターフロントの高級マンションに約1億円を費やし、3月には家族を呼び寄せた。
2人の息子が日本の小学校に通い始めたばかりの45歳の彼は、東京の高級不動産ブームを牽引する多くの裕福な中国人の1人である。
不動産業者によると、中国政府の独裁的政治体制に対する不満は、パンデミック時の突然のロックダウンで燃え上がり、それ以降さらに増大するばかりで、中国人の東京での不動産買い付けを促進する一因となったという。
中国経済の減速と株式市場の低迷も、富裕層の国外退去の動機になっているという。
ハヤシ氏は、東京への移転は大変だったと語った。
「しかし、私たちは食べ物、文化、教育、安全など日本が好きです」と彼は言いました。
国外脱出を求める中国人にとって避難先は日本だけではない。米国、カナダ、シンガポール、英国も中国人移民を引き寄せる国である。
しかし、中国から飛行機でわずか数時間の日本の都市は、裕福な中国人にとって有力な選択肢となっている。
円安のおかげで外国人にとって日本の不動産価格は安く、不動産の購入は比較的容易だ。
また、日本語には一部漢字が使用されている事は中国人にとって便利だ。
昨年末現在、日本には約82万2000人の中国人が居住しており、前年比6万人増加し、ここ数年で最大の増加となった。
中国生まれで日本に帰化した東京の不動産仲介業者、折原修氏は、パンデミック前の2019年と比べて、主に中国人バイヤーのおかげで収入が3倍から4倍になったと語った。
「昔と違うのは、長期ビザの取得を希望する人が増えていることです」と折原さんは言う。
不動産記録によると、林さんが住む48階建てビルのフロアのマンションの約3分の1は、中国人名を持つ個人、または代表者が中国人名を持つ会社によって所有されている。
東京湾に隣接する高層マンションが林立する地域では、大抵の建物には4分の1以上中国人が住んでいるという。
業界の統計によると、東京中心部の新築マンションの平均価格は昨年40%近く上昇したが、、この上昇は、自国市場の急落を懸念する裕福な中国人バイヤーが殺到したことが影響しているという。
日本の不動産を購入したい中国人は通常、日本へのお金の調達とビザの取得という2つの課題に直面する。
中国は自国民が国外に持ち出せる量を制限しているが、多くの中国人買い手は国際的に事業を展開する企業を所有しているか、海外投資を行っている。
ブローカーの折原氏によると、顧客は通常、香港かシンガポールに銀行口座を持っており、そこから送金できるという。
唯一の例外は、19万ドルの不動産を購入し、友人や親戚を動員して数カ月かけて少しずつ現金を運んできた顧客だった、と同氏は語った。
ビザに関しては、日本の企業に少なくとも3万2000ドル相当を投資した人は経営管理ビザを取得できる。
他の中国人は、日本がビジネス、技術、学術分野の高度な専門家と呼ぶビザを取得する。
ソフトウェア エンジニアなどのスキルを持つ中国人の数は、2019 年から 2023 年の間に 30% 増加し、10,000 人を超えた。
彼らは最短1年で日本の永住権を申請できる。
一度定着すると、多くの中国人は日本の法的記録を含めて日本名を使用することを選択する。
自分の名前の漢字を日本風に読んだ人もいれば、まったく新しい名前を選ぶ人もいる。
日本人と接するときに便利であることに加えて、日本名を使用することで、中国系の人々はまだ家族がいる故郷で目立たないようにすることができる。
中国当局は人々が資産を持ち出して移住する事に眉をひそめる傾向があるためだ。
林氏は、長期的に日本に留まるつもりだと語った。
同氏は、魅力の一つは高度な医療ケアであり、自分が年をとったときに価値があると期待していると語った。
彼は昨年から日本の税金を払っている様だ。
高度専門職ビザの保有者として「4、5年後には永住権を取得したい」と語った。
外国人バイヤーに対してオープンな日本の不動産
日本に不動産を買って移住してきた中国人は日本風の名前に変名するんですね。
これは知りませんでした。
私も都内のマンションに住んでいますが、マンションは隣人間の関係が希薄ですので、ひょっとすると住んでいるマンションも中国人だらけになっているかも知れません。
日本の不動産制度というのは外人に対してオープンらしく、お金さえあればどこでも買えるそうです。
私は外人に対して特に偏見があるわけではありませんし、海外からの直接投資は歓迎すべきものだと思いますが、知らないうちに都内の良い場所が外人さんに占拠され、日本人が脇に追いやられるというのはいささか残念な気がします。
彼らが日本の治安の良さや優れた医療制度、交通インフラなどに魅力を感じて移住してくるのであれば、それなりの税負担をして頂く必要があると感じる次第です。
最後まで読んで頂き有難うございました。