北朝鮮に気を遣う文在寅政権
北朝鮮から韓国に逃亡したいわゆる脱北者は3万人以上に達していますが、北朝鮮は国境の警備を固めると共に、徹底的に外国の情報が国内に入らない様に検閲を強めている模様です。
韓国の民主団体は国境近くから風船にビラや韓国の情報を伝えるUSBスティックなどを付けて飛ばし、北朝鮮市民に国外の情報を届ける試みを続けていましたが、何と韓国政府はこの運動を取り締まろうとしている様です。
本来であればこういう民主的な活動は支援するのが筋と思いますが、どうして取り締まっているのでしょうか。
米紙ワールドストリートジャーナル(WSJ)が「Sending Bibles and K-Pop to North Korea Can Now Land You in a South Korean Jail」(聖書やKポップを北朝鮮に届けると韓国で監獄行きです」と題して記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事要約
何年もの間、韓国の活動家グループは、聖書からK-POPまで、国境を越えて北にすべてを送ってきました。
今では、彼らに対して、最高3年の懲役と27,000ドルの罰金が科せられる可能性があります。
月曜日遅く、韓国政府は、政府の許可なしに北朝鮮政権に批判的な資料を国境を越えて送ることを禁止しました。
文在寅大統領の与党に後押しされた新法は、北朝鮮との関係を改善するために言論の自由を犠牲にし、民主的価値を損なうとして脱北者と人権団体は批判しています。
今年、韓国と北朝鮮の関係は冷え込みました。
北朝鮮の指導者である金正恩の妹である金与正は、脱北者主導のグループが反政府のチラシを気球に結び付け、国境付近に飛ばしたとして、韓国政府を激しく批判し、6月に両国の連絡事務所を爆破しました。
金与正氏はその際、「下手な言い訳をする前に、少なくとも人間のくずによる茶番を阻止する法律を制定すべき」と述べました。
新しい法律では、USBドライブ、お金、拡声器による放送や印刷物など、さまざまな反体制資料を韓国政府が承認してから北朝鮮に送ることを義務付けています。
ソウル当局は、承認の条件がどうなるかについての詳細なガイダンスを提供していません。
チラシ、ニュース、ドラマ、映画の流入は、多くの北朝鮮人の見方を変えました。
ソウルに本拠を置くグループである北朝鮮人権データベースセンターの最近の調査によると、韓国に北朝鮮から逃げてきた脱北者の3分の2近くが外部の情報に接していたと証言しています。
多くの人が、外部の情報が彼らの逃げたいという気持ちを強くしたと語りました。
金正恩政権は、国境を越えて密輸されたコンテンツを広く配布した人々を公開処刑した、と平壌のウォッチャーは言います。
米国議会の人権委員会の同議長を務めるクリス・スミス議員(ニュージャージー州共和党)は、年次人権報告書で、韓国の民主的な価値観に対する姿勢を再評価するよう国務省に要請すると述べました。
スミス氏は先週、「韓国が監視リストに載せられるのは間違いないだろう」と述べました。
北朝鮮との関係を好転させようと努めてきた文在寅大統領は、人権団体からの批判を浴びました。
先月、韓国は2年連続で、北朝鮮の人権侵害を非難する国連総会決議を支持しませんでした。
300以上の国際的な市民団体が文在寅大統領に北朝鮮との関係よりも人権を優先するよう求めました。
特に金王朝が監視を強化し、新型コロナ感染から逃げようとして捕まった個人を処刑したと非難しました。
文在寅氏の与党民主党のスポークスウーマン、崔智恩氏は、国境近くに住む韓国人の安全を守り、両国間の合意を維持するために、反体制活動に対する新たな制限が必要だったと述べました。
韓国の統一部は、言論の自由を侵害する法律との主張に反論し、韓国市民に深刻な脅威を与える活動にのみ適用されると付け加えました。
北朝鮮の民主化を遅らせる試み
韓国の文在寅政権が北朝鮮寄りとは聞いていましたが、北朝鮮市民への民主的な働きかけを制限する法律を作るとは驚きました。
冷戦時代には朝鮮半島だけでなく、共産圏から自由主義圏に逃れようとする人が後を断ちませんでした。
それを象徴するのがベルリンの壁でしたが、今や昔の東欧の様な国は一握りになっており、北朝鮮はその代表格です。
ロシアや東欧の国々の体制が崩壊したのは内部からでした。
当時の共産党政権は、資本主義国家では資本家が労働者を搾取し、国民の生活は悲惨だと宣伝し、国外からの情報は厳しく制限していました。
しかし、国民は徐々に、政府が自分たちを騙していることに気付き、政府を倒すために立ち上がったため、内部崩壊したわけです。
今回の韓国政府の動きはそのプロセスを先延ばしする様なもので、圧政に喘ぐ北朝鮮の国民の不幸を長引かせるだけと思います。
どの様に北朝鮮に立ち向かうか、バイデン 新政権を含め国際社会は良く考える必要があると思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。