MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

意外にもワクチン接種で遅れをとるEU

f:id:MIYOSHIN:20210106125746j:plain

接種が遅れるEU

日本政府もついに7日より非常事態宣言を再度発出する事になりそうです。

新型コロナは変種の感染拡大もあり、その勢いはなかなか止まりそうにありません。

こうなるとワクチン接種に期待がかかります。

既に先進国では接種が始まっていますが、意外にも欧州大陸各国での接種が順調に進んでいない様です。

その理由を分析することは、我々日本人にも大変参考になると思います。

英誌Economistが「Europe has fallen behind on covid-19 vaccination - 

The leisurely roll-out of vaccines risks extending the pandemic for months」(ヨーロッパはワクチン接種に遅れをとっており、コロナ感染を数ヶ月延長させるリスクがあります)と題して記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

コロナウイルスから生まれる衰弱症状の一種である「LONG COVID」は、患者が恐れる慢性型の病気です。

一方、この用語は、ヨーロッパにおける感染の進行を表す場合もあります。

EUの4億5000万人の市民に予防接種を行う取り組みは、氷河が溶ける様なゆっくりしたペースで始まりました。

毎日10万件以上の新規感染が生じ、アメリカよりも多くの死者が出ていることを考えると、予防接種が遅れると、ヨーロッパにおけるコロナ感染が数か月延びるリスクがあります。

先進国の中で、EUはワクチン接種で遅れをとっています。

アメリカとイギリスはすでに国民の1〜2%に接種しました。

飛び抜けたスピードで接種を行っているイスラエルは既に16%に達しています。

対照的に、ドイツは国民の0.4%しか接種していません。

フランスは1月4日まで1,000人を超えませんでした。 オランダは今週から接種を開始する予定です。

ロックダウンが強化されるにつれて、ワクチン接種の遅延はEU加盟国で政治的な時限爆弾になりました。

医療専門家は政治家を非難し、政治家はお互いを非難し、ワクチンの調達を調整したブリュッセルのEU当局への批判も高まっています。

つい最近EUを離脱した英国も新たなロックダウンに入る可能性がありますが、予防接種に対するより機敏な行動は、EUにおいて何かが間違っているという感覚が生じます。

EUにロックダウンが終わる見通しがない中で、隣人が通常の生活に戻ることに近いと見れば、緊張は上昇し続けるでしょう。

 

ヨーロッパがワクチン接種で遅れを取る理由は見当たりません。医療制度には十分に資金提供されています。ファイザーと共に市場に出る最初のワクチンを開発したBioNTechはドイツの会社です。

3つの要因がヨーロッパの遅れを説明します。

1つ目は、ワクチン承認に時間がかかったことです。

英国のEU離脱によりEU全体の医薬品の承認を担当する欧州医薬品庁が、2019年にロンドンからアムステルダムに移転した結果、承認が米英に比較して数週間遅れをとりました。

ファイザー-BioNTechワクチンに対するEUの承認は、英国の3週間後とアメリカの10日後の12月22日に行われました。

1月6日、EUは、米国が12月中旬に承認したModerna社のワクチンを承認する予定です。

管理が簡単で英国が使用を開始したアストラゼネカ-のワクチンの承認は早くても来月まで待たなければなりません。

 

遅延の2つ目の理由は、調達に関するものです。

EU諸国は、より安い価格で購入するために、ワクチンをまとめて購入することを決定しました。

この戦略は価格を下げることに成功したようですが、比較的高価なファイザーBioNTechワクチンを僅かな量しか注文しませんでした。

しかし、同社のワクチンは現在EUで承認されている唯一のワクチンです。

EU委員会は、ワクチンをEUの全人口に数回接種できるほどたくさん購入したことを強調します。

しかし、アメリカ人と英国人はケチではなかった見返りを今享受しています。

EUが大量の予防接種を行うには、アストラゼネカ社のワクチン承認を待つ必要があります。

 

ワクチン接種率が低い最後の理由は、ロジスティクスに関係しています。

感染が一時停止しているように見えた2020年の秋に設計されたワクチン搬送計画は今や機能しません。

さらに悪いことに、より早く感染するウイルス変種の出現が作業を更に困難にしています。

 

各国政府は、有権者の意見にも耳を傾けなければいけません。

たとえば、フランスでは、人口のわずか40%しか予防接種を受けると述べていないという事実に合わせて戦略を調整する必要がありました。

介護施設の入居者がインフォーム ドコンセントを確実に得られるようにするためには、医療関係者による複数の訪問を必要とします。

 

切迫感が増すにつれて、状況は改善するかもしれません。

マクロン仏大統領は、フランスの保健当局を非難し、ドイツの保健大臣は、ペースを上げるようにEU当局に圧力をかけました。

より多くの人々に最初の接種を行うために、ドイツは2回目の接種を遅らせることを検討しています。

ファイザー社のワクチンへの追加注文も進行中です。

EUの当局者は、4月までに、3つの異なるワクチンの生産が本格化し、ロジスティックの問題を解決することを目指している様です。

数週間は長くはないかもしれませんが、政府の失策により、家でじっとしている時間が延長されたと思う人々にとってみれば、それは永遠のように感じられるかもしれません。

日本のワクチン接種は

日本の接種開始は、政府の発表によれば、2月下旬とされています。ここは考えどころだと思います。

Economistが主張する通り、欧州各国は英米に比べて接種のスピードで劣っているかも知れませんが、これは欧州人の新型ワクチンに対する警戒心を物語っているとも言えます。

英米の様に感染が非常に悪化している国では、多少のリスクを顧みず、ワクチン接種に走る必要があるかも知れません。

しかし、EU各国の状況は英米とは異なる様です。

直近の感染者数を調べてみました。(ジョン ホプキンス大学:1月3日)

  1. フランス:12,495人
  2. 英国:55,157人

英仏でこれだけの差があります。フランスはある程度感染拡大を押さえ込んでいるのです。

フランス人が4割しかワクチンを受けたくないと言っているのは、副作用のリスクと感染のリスクを天秤にかけた上で、ワクチンを受けないという選択を行っているものと思います。

日本の感染状況は英米とは大きな差がある訳ですから、ワクチンの安全性確認が拙速にならない様にお願いしたいと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございます。