英国で良い治験結果
非常事態宣言が出され、日本の感染者数も拡大が止まりません。
怖いのは医療崩壊であり、日本の医療体制もかなり逼迫してきている様です。
そんな中、特効薬に関するニュースが英国から飛び込んできました。英誌Economistが「Another life-saving treatment is found for covid-19」(新型コロナの新しい治療法が見つかりました)と題する記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要約
新型コロナに関する良いニュースは、最近では入手困難です。
感染者の絶え間ない急増は、世界中の病院を圧迫しています。
しかし、本日発表された2つの薬の臨床試験の結果は、患者と病院の両方の状況を改善しそうです。
トシリズマブとサリルマブと呼ばれる2つの薬は、現在、関節炎患者の炎症を軽減するために使用されています。
免疫系がオーバードライブ状態になり、臓器を破壊する過炎症は、新型コロナ患者が死に至る一つのパターンです。
新型コロナに適した抗炎症薬としては、デキサメタゾンがすでに発見されています。
それは全面的に免疫システムを弱める安価なステロイドです。
対照的に、トシリズマブとサリルマブはより標的を絞る事が可能です。
それらは両方とも、免疫応答を引き起こすタンパク質であるインターロイキン-6の効果をブロックする抗体でできており、新型コロナ患者で効果が顕著です。
トシリズマブとサリルマブの臨床試験では、集中治療室(ICU)への移送を必要とするほどの重症で入院した800人の患者が対象となりました。
治験は6か国で実施され、参加者のほとんどは英国にいました。
800人の患者の半分は標準治療に加えて2つの薬のうちの1つを受け、残りの半分は標準治療(デキサメタゾンを含む)のみを受けました。
トシリズマブまたはサリルマブも投与されたグループの患者の27%と比較して、標準治療グループの患者は36%が死亡しました。
言い換えれば、死亡率を約4分の1削減しました。
さらに、これらの薬で治療された患者はより早く回復し、7〜10日早く退院しました。
入院期間の短縮により、多くのICU病床が解放されます。
英国やアメリカのように、多くの病院で病床が不足している場所では、歓迎すべきニュースです。
2つの薬剤は同等に機能するように見えますが、結果はより古く、より広く利用可能な薬剤であるトシリズマブの方が確実であり、したがって、試験の新治療群の参加者の大多数に与えられました。
薬は安くはないので、発展途上国には負担が重いかもしれません。
英国では、静脈内治療のコースの費用は750〜1,000ポンド(約1,000〜1,400ドル)です。
ICU滞在期間の短縮は、この費用を相殺する以上の価値があります。
ICUでの1日の費用は、英国の国民保健サービス(NHS)で患者1人あたり約2,000ポンドです。
そして、一般的に、集中治療に費やす日数が少ない患者は、その後の回復が早く、リハビリが少なくて済みます。
NHSは、ICUの患者に直ちにトシリズマブの使用を開始します。
病院はすでに薬を保有しており、政府は供給を増やすためにそれを作る製薬会社であるロシュと協力しています。
今のところ、英国はトシリズマブとサリルマブの両方の輸出を禁止しています。
新型コロナによる死亡が続く中、試験結果は、患者、疲れ果てた医療従事者、そして封鎖されている何百万人もの人々に希望の光をもたらします。
日本の研究開発の成果
トシリズマブは岸本忠三・元大阪大学長と中外製薬が開発し、「アクテムラ」の商品名で知られています。
日本の研究開発が新型コロナの患者の命を救う事に役立っているのは大変嬉しい事ですね。
ワクチンも大事ですが、特効薬も大事です。
ノーベル賞受賞者の本庶教授が指摘されてた通り、コロナにかかっても死ななければ怖くないんです。
この特効薬により死亡率が大きく低下するという事になれば、希望の光が見えてきます。
今後の進展を見守りましょう。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。