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フランス紙が分析する米国株式好調の理由

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絶好調の米国株式市場

日本の株式市場はここの処好調です。

しかし、これは日本に限った事ではなく、世界的な現象の様です。

中でも米国は史上最高値を更新するなど、コロナ感染であれほど多くの犠牲者を出しながら、別世界の様な好調ぶりを見せています。

何故これほど米国株式市場は好調なのか、今日はフランスの経済紙Les Echosの「Bourse : 3 raisons pour investir sur les actions américaines」(株式市場:米国株式に投資する3つの理由)と題された論説をご紹介したいと思います。

Les Echos論説要約

2020年において、米国と欧州の株式の対比が際立っています。

S&P 500インデックス(米国の代表的株式指数)は、18.4%上昇しましたが、S&P350ヨーロッパは、5.89%の増加(ドル換算ベース)にとどまりました。

2018年と2019年もそうでしたが、米欧株式の差は更に拡大しました。

このような場合、米国の株式は高すぎると考え、来年の欧州市場の上昇に賭ける専門家が常にいます。

しかしその様な賭けはめったに当たりません。

確かに、有名な「価格収益率」(PER)などを見ると、歴史的に見てアメリカの株は高いと言えます。

過去10年間の平均利益をとってみれば、S&P 500は利益のほぼ34倍を支払うという結論に達します。

これほどの伸びを見せたのは1999年から2000年のインターネットバブルまで遡らなければなりません。

しかし、米国株式には次にあげる様な三つの優位性を有しています。

  • 米国企業の危機対応能力

まず、先を見据えると、欧州に対する米国の株式価格の高値感はそれほど明白ではありません。

米国企業は危機への抵抗力が高く、2021年には利益がより強く回復するはずです。

いわゆる「フォワード」PER、つまり米国企業の現在の株式価格と2021年の予想利益の比率はヨーロッパの22.6倍に対して、22.9倍であり殆ど同じレベルです。

金利は歴史的に低いレベルにあり、すぐに上昇する見込みはありません。

この様な状況では、投資家は債券を購入するために株式を売ろうとはしません。

債券は確かに安全ですが、実際の収益はマイナスになることがよくあります。

高い株価は、差し迫った株式市場の崩壊と同義ではありません。

むしろ、恐れられるのは、高い株価と記録的な収益(サイクルの終わりを示す)の組み合わせです。

新型コロナの危機に注意は必要ですが、現時点では明らかにその様な兆候は認められません。

 

1996年アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)トップを務めていたグリーンスパン氏の有名な発言を思い出すことができます。

彼は、インターネットバブルの危険について警鐘を鳴らすため、市場の不合理な熱狂について話しました。

しかし、S&Pはその後3年間でほぼ倍増し、1996年末のレベルに戻ることはありませんでした。

  • 最も多様化した市場

アメリカ市場は地球上で最も深くそして最も多様性に富んだ市場であり続けます。

ヨーロッパ市場はバリュー株に富んでいますが、米国市場はもちろんテクノロジー関連だけでなく、健康と消費財のグロース株で溢れています。

これらの企業は、巨大国内市場の恩恵を受けているため、多くのヨーロッパ企業よりも国際市場への依存度が低くなっています。

これは、新型コロナ感染が続いている時期において重要なポイントです。

  • 巨大な国内市場

米国の株式市場は、ヨーロッパ以外の市場では最も有望に思える中国市場に対して決定的な利点を有しています。

中国の問題は、ジャック・マーの最近の「失踪」によって暗示されています。

中国政府に対して批判を行った後、電子商取引の巨人アリババのトップの消息は不明です。

これは、国の開放性の限界を示しており、投資家にとって測定が困難なリスクをはらんでいます。

 

アメリカ市場へのアプローチは、ETFを通じて市場全体のパフォーマンスを享受する「パッシブ」戦略か、積極運用されているファンドのどちらかを選択できます。

ETFには、明らかにコストが低いという利点があります。

ファンドは、短期的に大きな利益を得られる可能性があります。

しかし、アメリカのETFをコンスタントに打ち負かすことは大変難しい事です。

先進国の中で抜きん出る米国株式市場

日本も欧州とよく似た成熟国家です。

少子高齢化が進んでいる点も共通しています。

それでは日欧と米国との違いは何でしょうか。

それは米国が先進国の中で唯一人口が増加している国だと言う点だと思います。

これが米国株式市場が一人勝ちしている理由では無いでしょうか。

もう一つ理由を挙げるとすると、株主の発言力が非常に強い事が挙げられます。

「物言う株主」が経営陣に強い圧力をかけて生産性や効率性を向上させる文化が米国には定着していると思います。

会社の総務部が書いた筋書き通りに株主総会が進められる日本の株主総会とは大きな違いがあります。

米国に何かと批判的なフランス人も、株式に関しては、米国の軍門に降るしかないところを見ると、今後も米国株式市場は強そうですね。

(株式市場は誰も正確には予測できませんので、投資はご自身の判断で行って下さい。)

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。