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走りながら充電する電気自動車の可能性

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充電切れがアキレス腱の電気自動車

電気自動車の最大の問題は何でしょうか。

それは充電に関するものだと長く言われてきました。

電気自動車はバッテリーに充電された電気で走ります。

技術の進歩により日産リーフの最新型などでは、400キロを超える航続距離が達成できる様になっていますが、これだけの距離を走るためには大きなバッテリーを積む必要があります。

電気自動車においてバッテリーのコストは最も大きく、大型バッテリーはコスト高に繋がります。

また、先に述べた航続距離は、理想的な条件の下の数値であり、渋滞にはまってエアコンを動かせばあっという間に電気は消費されます。

従って、電気自動車の運転手は常に充電切れの不安につきまとわれます。

一方、充電ステーションがどこにでもあるかと言えば、現時点ではかなり限られています。

その上、充電に時間が掛かります。

ガソリン給油は、ものの1分の給油で500キロ以上走れる訳ですから、確かによく出来た仕組みだと思います。

今述べた様な不便さが電気自動車普及の障害になっているわけですが、もし走りながら充電ができたらどうなるでしょうか。

そんな夢の様な話が欧州で実現化されようとしています。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「These Companies Want to Charge Your Electric Vehicle as You Drive」(幾つかの会社が電気自動車を走りながら充電させようとしている)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

 電気自動車(EV)を巡る熱狂にずっとブレーキをかけてきたのは充電切れへの懸念でした。しかし、運転中に車を充電できたらどうでしょうか?

 自動車、インフラに携わる複数の企業が現在、電動の乗用車やバス、トラックが走行しながら充電することを可能とする技術を試験しています。

「ダイナミックチャージング」として知られるこの技術では、道路に埋め込まれた充電パッドからワイヤレスでEV下部のレシーバーに給電します。

フランスでは、ルノーとフランス電力公社(EDF)がパリ市内でダイナミックチャージングを試験する段階です。

スウェーデンでは、独フォルクスワーゲン(VW)傘下でトラックなどの大型車両を製造するスカニアが独公益大手エーオンと手を組み、充電可能なトラックを開発し、大量生産の準備が整っています。

イスラエルの都市テルアビブでも、スタートアップ企業がワイヤレス充電されたバスの試験走行を間もなく行います。

 ルノーの充電プロジェクトを率いるセリエ氏は「充電が苦痛であってはならないし、EVの普及にブレーキをかけるようではいけない。技術的にこれは機能する」と述べました。

 だがコスト面からいえば、ダイナミックチャージングにはまだ疑問符がつきます。携わる企業でさえ、送電網に道路を接続するコストの削減や同技術を採算化する方法を見いだす必要があると話します。

また、実現しても都市部や主な輸送ルートに限られる可能性が高いと指摘します。大規模なインフラ投資が必要だからです。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、2019年に世界で販売された自動車に占めるEVの割合は2.5%。一方、ガソリンで走る高燃費のSUV(スポーツ多目的車)が過去最高の42%を占めました。

 「目的地に着く前に充電が切れるのではないかという航続距離に対する消費者の不安が、EV選択を阻む最大の障害の一つだ」。エネルギーコンサルティング会社幹部は指摘します。

ダイナミックチャージングに関わる各社は、同技術がEVに対する考え方を変える一助となることを期待しています。

ルノーは、2029年末までに自社の車両に装備することを見込む。この技術を使えば、より安価な小型のバッテリーで済む可能性があるとみています。

 ルノーは現在、高速道路のほか、ベルサイユとパリで都市部でのダイナミックチャージングを試験する準備を進めています。

道路については交通インフラを手掛けるコラス・グループが、送電網への接続と収益化はEDF傘下のエネディスが担当する。

 ダイナミックチャージングを支持する人たちは、風力タービンや太陽光パネルのように、官民の資金提供と大規模展開により、コスト削減が可能だと主張します。

インフラ事業を手掛ける米エイコムのブイ氏によれば、同技術は他の充電オプションと補完することができるといいます。

 より広範なオプションの一つとしてのダイナミックチャージングは、もし大型車両のインフラが最初に整備されるなら「非常に実現可能」だと同氏は指摘。

「その後に小型車両に取りかかればいい」と話しました。

ダイナミックチャージの将来性と課題

このアイデアは、私がロンドンに駐在員として滞在していた2010年頃、既に英国のエンジニアリング会社が実用化を検討していました。

スマホなどの非接触充電が実用化されるか否かのタイミングです。

私も話を聞いた時に、これは素晴らしい発想だと思ったのですが、高速道路に充電ベルトを敷き詰めるコストが高すぎる為、実現しませんでした。

現在もインフラ構築にかかるコストの他にも、走りながら充電したコストを正しくユーザーに課金できるのか等、様々な課題はある様ですが、実現性は増してきている様です。

最初に実現されるのは公共バスだと思います。

バスは必ず停留所に停車しますので、停留所だけダイレクトチャージングできる様にしておけば良いので、コストが低く抑えられます。

将来は、充電切れそうになった車はダイレクトチャージングが可能な幹線道路に迂回して、充電してから目的地に向かう様に、車が勝手に寄り道する様になるのではと思います。

バイデン大統領は、就任当日にパリ議定書への回帰を発表しました。

世界はグリーンエネルギーに向けて前進しています。

その先頭を走る欧州の動きに注目しましょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。