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驚くべきスピードで進む中国の少子高齢化

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ひとりっ子政策の後遺症

中国の一人っ子政策は有名ですが、これは増え続ける人口を抑制するために1979年より2014年まで実施された政策です。

共産党政権下の経済運営は過酷を極め、1959年から1962年までのわずか3年の間に、経済運営の失敗から1500万人を超える餓死者が出たと言われています。

人口増が招く食糧不足を心配する中国政府は出生者を抑制する一人っ子政策を始めたわけですが、この政策は現在の中国に大きな爪痕を残しています。

35年間にわたる出生抑制と高齢者の長寿化は、中国に急速な小子高齢化をもたらしました。

この問題について英BBCが「China: The men who are single and the women who don't want kids」と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

BBC記事要約

10年に1回の人口調査によると、中国での出生数は1960年代以来の最低レベルにまで落ち込んでおり、避妊政策の終了が求められています。

しかし、中国の一部の人々は、これらの政策だけで出生数低下を食い止められるとは思っていません。

 

北京在住のリリはすぐに子供を産む予定はありません。

結婚して2年になる31歳の彼女は、「子育ての悩みがない人生を生きる」ことを望んでいます。

「私には子供がいる仲間はほとんどいません。子供がいる場合、最高の乳母を手当てしたり、子供を最高の学校に入学させたりすることに夢中になり。疲れ果てているように見えます。」

リリは匿名を条件にBBCに話しかけ、娘の気持ちを知れば母親は壊滅的な打撃を受けるだろうと述べました。

 

しかし、世代間のこの意見の違いは、多くの若い都市部中国人の出産に対する見方の変化を物語っています。

 

今月初めに発表された中国の国勢調査によると、昨年は約1,200万人の赤ちゃんが生まれました。

これは、2016年の1,800万人から大幅に減少し、1960年代以来の最低出生数です。

全体の人口は増加しましたが、数十年で最も遅いペースで増加し、中国が予想よりも早く人口減少に直面するかもしれないという懸念を悪化させました。

 

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出典:BBC

人口の減少は、若者よりも高齢者の方が多いため問題を生じます。

将来的には高齢者を養うだけの労働者が足りなくなり、健康や介護への需要が高まる可能性があります。

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出典:BBC

国が発展するにつれて、教育やキャリアなどの他の優先事項のために出生率が低下する傾向があります。

たとえば、日本や韓国などの近隣諸国でも、夫婦の子供を増やすため政府が様々なインセンティブを用意しているにもかかわらず、出生率は近年、記録的な低水準にまで低下しています。

 

深刻な男女の不均衡

しかし、専門家は、子供を作るどころか、そもそも妻を見つけるのが難しいと感じている男性の数を考えると、中国の状況は特に悪化する可能性があると言います。

結局のところ、この国には深刻な男女の数の不均衡があります。昨年は、女性よりも男性の方が3,490万人多かったのです。

 

これは、人口増加を遅らせるために1979年に導入された国の厳格な一人っ子政策の影響です。

歴史的に女の子よりも男の子を好む文化では、この政策は強制中絶につながりました。

2016年、政府は政策を終了し、夫婦に2人の子供を産むことを許可しました。

しかし、改革は直後の2年間の増加にもかかわらず、国の出生率の低下を逆転させることができませんでした。

「この状況で誰が子供をあえて持つだろうか?」

専門家はまた、政策の緩和が、教育への金銭的支援や保育施設へのアクセスなど、家族生活をサポートする他の変更を伴わなかったためだと指摘します。

多くの人々は、生活費の上昇の中で子供を育てる余裕がない、と言います。

「人々が子供を産むことを躊躇しているのは、出産の過程にあるのではなく、その後に起こることだ」とムー博士は述べた。

特に女性は、依然として子供をケアする事を求められています。

中国には理論上14日間の育児休暇がありますが、男性がそれを取得することはまれです。

中国の一部の女性は、キャリアが傷つく可能性があると感じた場合、子供を産むことを望みません。

近年、産休給付を延長している都市もあり、女性は標準の98日を超えて休暇を申請することができますが、それは職場の性差別を悪化させていると人々は言います。

3月、重慶の女性の求職者は、潜在的な雇用主から、妊娠したらすぐに仕事を辞めることを約束するかと問われました。

 

状況を逆転させるには遅すぎますか?

出産制限は近い将来完全に解除されると予想されており、情報筋はロイターに今後3〜5年以内に解除される可能性があると伝えています。

中国に避妊政策を直ちに廃止するよう求める声もありますが、専門家は「誰も子供を産みたいと思わない時ににそれを自由化することは無意味です」と述べます。

 

しかし、一部の専門家は、都市の住人と地方の人々の間の大きな格差を指摘して、注意深く対応する必要性を指摘しています。

北京や上海などの高価な都市に住む女性は出産を遅らせたり避けたりしたいと思うかもしれませんが、田舎の女性は依然として伝統に従い、大家族を望んでいると彼らは言います。

「私たちが政策を解放すれば、地方の人々は都市の人々よりも積極的に出産する可能性があり、貧困問題を生じる可能性がある」と述べました。

 

恐るべき人口減少

予想以上のスピードで中国の人口が減少している事に驚きました。

人口動態はかなり確実に将来を予測できます。

20年後に今の0歳児の人口が急に増加したり減少したりはしないからです。

人口の伸びと経済の成長率の間には強い関連がありますので、中国の経済成長は今後かなり鈍化する事が予想されます。

人口が減少に転じる中国と先進国の中で唯一人口が増加している米国の間の競争にも大きな影響を与える事が予想されます。

それにしても中国の都市部と農村部の格差は想像を絶するものがある様です。

中国では農村から都市への転籍が許されていませんので、今後農村部で貧困がはびこれば、社会問題に発展する可能性があります。

中国の中には都市部と農村部という二つの違う国があると考えた方が良さそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。