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米国政府支援によって行われた武漢でのウイルス研究

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武漢研究所に対する米国政府援助

新型コロナの起源をめぐって、欧米メディアではここのところ、武漢ウイルス研究所からの流出説に関心が高まっています。

そんな中、ウイルスの危険度を高める研究が、武漢研究所でなんと米国政府の資金援助を受けて行われていたとの新しい事実が発覚しました。

この点について、英紙Financial Times(FT)が「Covid-19 lab-leak theory puts Wuhan research in spotlight - ‘Gain of function’ experiments that make viruses more deadly should be more tightly controlled, say some scientists(研究所流出説が武漢の研究に注目を集める - 一部の科学者は、ウイルスをより致命的なものにする「機能の獲得」実験をより厳密に制御する必要があると述べている)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

FT記事要約

新型コロナウイルスの起源についての答えを探す過程で、以前密かに行われていた研究に世界中の注目が集まっています。

「gain of function(機能の獲得)」として知られるこの研究には、病原体を操作して、ウイルスがどのように行動し、どのようにしてワクチンに耐性を持つようになるかを理解することを目的として、病原体をより致死的にすることが含まれます。

反対派は、病原菌が漏れてパンデミックを引き起こすリスクが大きすぎると批判しています。

2014年に、米国当局がより厳しいガイドラインを作成した為、機能獲得研究のための米国の資金提供はオバマ大統領によって停止されました。

しかし、2017年に新しい規則が導入され、世界中の研究所で禁止された後も、同様の実験は、多くの場合、米国の資金提供を受けて続きました。

その中には、現在、コロナウイルスの起源に関する議論の中心となっている武漢ウイルス研究所も含まれます

 

武漢研究所で働く 15 人の科学者からなる多国籍グループは、コウモリのコロナウイルスが人間にリスクをもたらすかどうかを調査するために、2015 年から 2020 年の間に60万ドル(6,500万円)の米国公的資金を受け取ったと、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は今週米国上院の公聴会で語りました。

2015年に発行された科学誌Nature に掲載された論文によれば、武漢研究所のチーム (「こうもりウーマン」と異名を取る中国のウイルス学者、石正麗を含む) は、2 つの異なるコロナウイルスをつなぎ合わせて、より危険なバージョンを作成しました。 

ファウチ氏は火曜日、実験が機能獲得の研究であることを否定しました。

しかし、2015 年の論文には次のような厳しい警告が記載されています。「科学審査委員会は、同様の研究が、既存の菌株に基づいて人工的なウイルスを作る事をリスクが高すぎると見なす可能性があります。」

「将来のアウトブレイクに備え、それを軽減する可能性は、より危険な病原菌を生み出すリスクと比較検討する必要があります。」と科学者はその論文に記載しています。

 

新型コロナウイルスがコウモリから、または中間の動物宿主を介して自然に人間に感染したという決定的な証拠を欠いている中、一部の科学者は、武漢研究所から漏洩した可能性を疑っており、上記の警告はより大きな反響を呼んでいます。

2015 年の論文の著者の 1 人である ラルフ バリッチを含む科学者グループは、今月の公開書簡で、「十分なデータが得られるまで、自然感染と実験室からの流出の二つの仮説を維持しなければなりません。」と主張しました。

ハーバード大学の疫学教授であるマーク・リプシッチ氏は、「新たなパンデミックを引き起こすリスクを伴う実験を行う場合、公衆衛生上、非常に正当な理由があるべきです」と説明しました。

 

中国が推進した世界保健機関の調査では、今年初めに、ウイルスが研究施設から漏洩した可能性は「極めて低い」と結論づけました。

しかし、この結論は3月に米国と英国を含む国々と、調査が「十分に広範囲」ではなかったと述べたWHOのテドロス事務局長よって異議を唱えられました。

今週、バイデン大統領は、諜報機関に、研究所からの流出の可能性を再度調査する様指示しました。

中国の国営メディアは、研究室からの流出の可能性を繰り返し否定し、その説を「陰謀」と表現しています。

 

研究所流出説への新たな注目は、米国国立衛生研究所(NIH)にその武漢研究所との関係について、難しい問題を提起しました。

バリッチ氏 と EcoHealth Alliance (NIH の資金を武漢研究所に提供した非政府組織) は、ファウチ氏と同様に、武漢での研究が機能獲得である事をを否定しました。

 

しかし、NIHが資金提供した武漢の研究は機密扱いされましたが、ラトガース大学の教授であるリチャード・エブライトを含む一部の専門家は、それを行うべきではなかったと主張しています。

「今回のパンデミックの原因が研究所からの流出であるかどうかにかかわらず、それが私たちが資金提供したり、実行を支援したりすべきではなかった研究である事は明らかです。」とエブライト氏は述べました。

 

彼はまた、武漢の施設のセキュリティレベルに疑問を呈しました。

公開された作業の詳細によると、2016年、石正麗とEcoHealthの代表であるダザック氏を含む科学者は、NIHの資金を使用して、武漢のバイオセーフティレベル2のラボでライブコロナウイルスの実験を実施しました。

レベル2の 施設は通常、研究者は白衣と手袋のみを着用してオープン ベンチで実験できます。
「この作業が行われるのであれば、レベル 2では絶対に行うべきではありません。これは、一般的な歯科医院と同等のセーフティレベルです。」と エブライト氏は言います。

懸念していたのはエブライト氏だけではありません。

伝えられるところによると、2018年、中国在住のアメリカの外交官がワシントンに電報を送り、「武漢の新しい研究所では、安全に運営するために必要な適切に訓練された技術者と調査員が深刻に不足している」と警告しました。

 

科学者たちは、ウイルスが自然に発生したのか、武漢の研究所で発生したのかはわからないかもしれないと述べていますが、多くの人は、そのような研究が絶対に行われてはいけなかったと信じています。

メリーランド大学の生物兵器の専門家であるミルトン・ライテンベルグは、「私たちがこの研究をどのように分類するにせよ、武漢ウイルス学研究所で行われるべきではなかった」と述べました。

衝撃的な事実の判明

この記事で明らかにされた事実は、衝撃的です。

  • まず、既存種を掛け合わせてより毒性の高いウイルスを人工的に作り上げるという恐ろしい実験が中国で行われていた。
  • その実験は歯科医院と同じレベルのセーフティーレベルで行われた。
  • この研究は米国政府の多額の支援を受けて行われた。
  • その資金提供を行った米国責任者であるファウチ氏は、現在米国国立衛生研究所の所長という要職にある。
  • 武漢ウイルス研究所に米国政府資金を提供したNGOのEcoHealth代表であるダザック氏は以前武漢研究所での研究に参加している。(この人は最近WHOが武漢に派遣した調査団にも団員として参加している。)

政府の資金供与はオバマ政権時代に行われていますので、如何にその頃米中が蜜月状態であったかが窺い知れます。

中国政府から新たな情報が出てくる事は望み薄ですが、ファウチ氏やダザック氏には説明責任があると思いますので、事実を詳細に説明してもらいたいと思います。

もし、本当に研究所から流出したのであれば、膨大な数の犠牲者を出した今回のパンデミックは天災ではなく、人災という事になります。

そうであれば、対策を講じることも可能かも知れません。

真相究明が進む事を期待します。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。