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コロナがもたらすもの - 空前のコンテナ船不足

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グローバル化がもたらすコンテナ船の需要

船というのはサプライチェーンのグローバル化と共に、その需要は年々高まってきました。

特に中国がWTOに加盟してからというもの、七つの海に浮かぶコンテナ船の数は鰻登りとなりました。

新型コロナの発生は、この船舶の需給関係を大きく変えて、現在、特にコンテナ船の輸送量は暴騰している様です。

この世界的な船不足の状況に関して英BBCが「Why even giant ships can't solve the shipping crisis」(巨大船でさえも船不足を解決できない理由)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

BBC記事要約

Jared Chaitowitzは、南アフリカのケープタウンに約300台のレンタサイクルを所有しています。

彼は、ペダルからベルまで、スペアパーツの供給に依存して、事業を行っています。

しかし、問題が生じました。

「タイヤのサプライヤーは、納期が10〜12か月になると連絡してきました。ストレスがたまっています。」

パンデミックは世界的なサイクリングブームを引き起こし、自転車の需要の増加を促し、同時に卸売業者は世界的な輸送コンテナの不足に悩まされてきました。

 

Chaitowitz氏だけではありません。

最近、世界中の多くの企業が同様のロジスティクス上の問題に直面しています。

 

ロックダウンにより小売購入が大幅に減少し、その後、国々が再び開放し始めたため、急激な消費の回復が見られました。

現在、主に米国と中国で、何百ものコンテナ船が港へのアクセスのために列を作っています。

さらに、欧米では、トラックの運転手が不足しているため、陸上で目的地にコンテナを移動することが難しくなっています。

そして、港湾労働者の新型コロナ感染によって引き起こされた港の閉鎖は、渋滞をさらに悪化させました。

 

何ヶ月にもわたって岸壁にアイドリングしたままのコンテナについての話を聞くことはざらになりました。

さらに、コンテナ輸送の価格は天井知らずです。

S&Pグローバルプラッツのグローバルコンテナ市場の編集者であるジョージグリフィス氏は、アジアからヨーロッパに40フィートコンテナを1つ送るのにかかる費用は17,500ドル(12,650ポンド)で、1年前の10倍以上になると述べています。

 

この輸送費の高騰に直面して、一部の大企業は、独自のコンテナとチャーター船を独自に購入することを決定しました。

その中には、米国の巨人ウォルマートとホームデポ、そしてスウェーデンの家具ブランドIkeaがあります。

Ikeaの広報担当者は、製品不足を解消するために、同社が追加のコンテナとチャーター船を購入したことを確認しました。

おもちゃから自動車まで、無数の産業が世界中を着実かつ継続的に移動する輸送コンテナに依存しています。

 

プリマス大学の海運研究グループの責任者であるStavrosKaramperidis氏は、クリスマスの時期について、「私は空の棚が予測できます。」と述べています。

英国のEU離脱後パンデミックによりEUの労働者が英国を離れ、東欧からの運転手が英国で働くか雇用されるのに費用がかかるため、英国ではトラック運転手の不足が特に深刻です。

 

今年、海運会社は数十億ドルに登る記録的な利益を上げると予想されていますが、彼らは彼らで問題に直面しています。

何十年もの間、コンテナ船は大きくなり続けています。

今日の世界最大のものは、長さ20フィート(6.1m)の24,000個ものコンテナを搭載できます。

しかし、そのような船は大きくて深い港と巨大なクレーンを必要とし、それが彼らが行くことができる場所を制限します。

専門家は、小型船の方が港での取り扱いが容易であることに同意しています。

レビンソン博士は、企業はまた、単一の工場から部品や製品を運ぶグローバルなサプライチェーンへの依存を再考する必要があるかもしれないと付け加えています。

ギャンブルに勝ったトルコ船主

2010年代初めにイスタンブールに住んでいた頃、トルコの船主に日本の船を売る仕事に携わる機会がありました。

当時、中国では膨大な数の新造船を製造中で、当時世界の船に浮かんでいる船の総排水量より現在世界の造船所で建造中の船の総排水量の方が大きいと専門家から聞かされて、「それは作りすぎだろう。その内、新造船の価格の暴落が起きるのでは」と内心思いましたが、結局トルコの船主に売りつけてしまいました。

しかし、あの時の船主の判断は正しかったのですね。

今、船はひっぱりだこで、私たちが船を売ったトルコの船主は大儲けしている筈です。

しかし、船不足の問題は長続きしそうで、これは今後サプライチェーンの再考という方向に進むと思われます。

そうなると船価の暴落はいずれ起こるでしょう。

船の運航事業は金持ちのギャンブルと言われますが、まさにその通りだと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。