存在感が薄れるフランス
先日結成された米英豪の安全保障に関する同盟関係AUKUSによって豪州との潜水艦商談をキャンセルされたフランスの怒りと焦りは相当なものがありました。
フランスは太平洋に幾つかの小島を領土として保有していますが、この地域で存在感が非常に薄いのが現実です。
世界で最も成長率が高いと言われるインド太平洋地域に食い込みたかっただけに、オーストラリアでの超大型商談キャンセルはあまりに痛い失策でした。
隣の芝生は青く見えるのか、フランスも相次いで大国が参入を図るこの地域が眩しく見える様です。
仏紙Les Echosが「Les Etats-Unis resserrent leurs liens avec les pays de l'Indo-Pacifique」(インド太平洋諸国との関係を強化する米国)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Les Echos記事要約
米国はインド太平洋諸国との関係を強化します
日本との新たな貿易パートナーシップの立ち上げ、来年のインド太平洋経済の枠組みの創設、米日欧間の協議など、米国政府は、この地域で中国に対抗するために活発に行動しています。
米国は、中国によってインド太平洋地域から除け者にされる事を避ける為、 ASEAN加盟10カ国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドが合意した包括的地域経済連携(RCEP)の発効の直前に、外交攻勢に出ています。
米国通商代表のキャサリン・タイと林芳正外相との東京での会談の際に、日米両国は、関係を強化するための新たな貿易パートナーシップの創設を発表しました。
このパートナーシップは地域および多国間貿易フォーラム、労働、環境、デジタルエコシステムなどの問題に焦点を当てます。
米国がEUからの鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する米国の関税を撤廃することに合意したため、日米も同じ問題について話し合っています。
バイデン政権は前政権よりもオープンですが、包括的かつ進歩的な太平洋横断パートナーシップ(CPTPP)に参加することは意図していません。
一方、ジーナ・ライモンド米国商務長官は、来年インド太平洋経済の枠組みを立ち上げる事に言及しました。
このプロジェクトは「中国とは何の関係もない」ものになる様で、米国政府はこの地域で軍事的にも商業的にも中国に対抗しようとしています。
米国、日本、EUは水曜日に、第三国の非市場政策と慣行によってもたらされる世界的な課題に直面するために、三国間パートナーシップを更新することに合意したと発表しました。
中国はここでも暗黙のうちに標的にされています。
漁夫の利を得るのは誰か
米国は人口が多く、高度経済成長が見込めるインド太平洋地域において中国との対立姿勢を鮮明にしています。
米中の激しい対立の中で漁夫の利を得るのは誰でしょうか。
それはインドと日本ではないでしょうか。
我が国の近代史を振り返ると、米中関係が良い時は、ことごとく我が国が不振に陥っています。
逆に米中関係が悪化すると、我が国が浮上します。
特にその傾向が明らかだったのは、毛沢東時代でした。
彼は長生きしたので、中国暗黒の時代は長く続いたのですが、鄧小平が実権を握り、ニクソン・キッシンジャーによる頭越し外交が行われてからというもの、日本は長いトンネルに入りました。
今は千載一遇のチャンスかも知れません。
しかし中国と完全に敵対するのも考えものです。
そのあたり上手く米中両国と付き合えるかが、日本の将来を占うでしょう。
総裁候補林外務大臣の手腕に期待です。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。