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バイデン 外交政策に仏紙がつけた評点

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フランスから見たバイデン氏

バイデン 氏が大統領に就任してから一年が過ぎました。

彼の外交政策は外国からどの様に評価されているのでしょうか。

仏紙Les Echosがバイデン 氏の外交を評価した「Politique étrangère : le « reset » de Joe Biden」(バイデン 氏の外交政策のリセット)と題された記事を今日はご紹介しようと思います。

欧州から見た米国観が理解できます。

Les Echos記事要約

予測不可能、力への依存、多国間取引より二国間取引への嗜好が特徴的なトランプ時代の後、私たちは長い外交経験を有するバイデン氏によりバランスのとれた穏やかな関係を期待していました。

最初の数ヶ月、パリ協定、世界保健機関、国連人権理事会への米国の復帰は、多国間主義への新しい道のりを示しました。

しかし、8月のアフガニスタンからの混沌とし​​た撤退、そして数週間後、オーストラリアの潜水艦に関する事件は同盟国との関係を揺るがしました。

アフガニスタンのエピソードについて、元フランスの外交官Denis Bauchard氏は「米国を信頼できないことを湾岸諸国に示しました。」と評しています。

「米国がこの地域からの脱出に誘惑されたとしても、サウジアラビアとカタールの軍事基地を放棄することはありません。イスラエルの安全保障、イランの核問題、石油価格の変動などはすべて米国が中東に関与し続ける理由です」とBauchard氏は続けます。

特にこの地域では地政学的な変化が起こっており、ロシアと中国の影響力が高まっています。

「中東はアメリカの政策の盲点になることはできない」と彼は述べます。

 

豪州の潜水艦に関するスキャンダルについては、米国が中国との競争とインド太平洋地域での影響力拡大に米国が焦点を当てていることから理解されなければならないでしょう。

しかし、「米国は中国との技術競争と軍事力競争に敗北するのではとの恐れに取りつかれている」と、パリのジャーマンマーシャル基金のディレクターであるシェファー氏は述べます。

 

トランプ時代とは異なり、中国との関係は完全な対立関係ではありません。

バイデン政権は問題を分割して対応しようとしています。

したがって、気候変動問題や、イランの問題について中国と協力する準備ができています。

昨年3月、中国はイランと25年間にわたる大規模な協力協定に署名しました。

「中国はイランに対する制裁を軽減する必要があります。ペルシャ湾まで到達したい彼らにとってイランとの関係は戦略的です」とシェファーは説明します。

その結果、中国はイランとの交渉で新たなチャンネルを米国に提供します。

 

ウクライナ危機はまた、国務省が変化していることを示しています。

国務省は現在、ヨーロッパとの対話を増やしており、ブリンケン国務長官は今週キエフとベルリンに滞在しています。

「アメリカ人は過去の過ちから学んでいます」「 彼らは、一国主義、既成事実化はもはや受け入れられないことを理解しました。 」とシェファー氏は語ります。

関係国との対話重視は米国の衰えの象徴か

これまで米国は圧倒的な国力を背景に、かなり大国のエゴを通してきました。

それが通るだけの実力があった訳ですが、最近の米国を見ると、もはやそんな時代ではなくなっている事を痛感します。

これは時代の流れなのかも知れませんが、米国が絶対に譲れないもの(いわゆるレッドライン)が何なのか明確にしてもらわないと、同盟国から頼りにならないと愛想をつかされそうです。

アフガニスタンからの撤退は必ずしも間違いではないと思いますが、中東諸国には米国はあてにならないとの印象を与えました。

米国が同盟国をどういう基準で決定し、守っていくのか、それは米国自身が断固たる覚悟で作ってもらう必要がある様に思います。

二極化が激化する米国の国内政治がそれを可能にできるかが問われていると思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。