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原油価格暴落のもたらすもの

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史上初の原油先物価格マイナスへ

原油の先物価格が歴史上初めてマイナス圏に突入しました。これにはびっくりしましたね。BBCは原油の5月の先物価格がマイナス37.63ドルと史上初めてマイナス価格を付けた事を伝えました。これ具体的に言うと、5月に原油を市場で売ろうとすると、原油を無償で渡すだけでは済まず、お金を払わないと引き取ってもらえないと言う事です。コロナウイルスのために、世界中で都市封鎖が行われており、原油需要が極端に落ち込んでいます。アメリカではガソリンの需要が通常時より3割も減っており、行き場のない原油はタンク等での貯蔵に回っていますが、貯蔵も限界に達している様です。従い原油製造者は貯蔵費を払わないと引き取ってもらえない状況に陥っているわけです。こんな事態を誰が想像したでしょうか。

原油価格暴落のもたらすもの

原油が安くなるならいいじゃないか。ガソリン価格も下がるだろうなんて思われる方もおられるかと思いますが、物事はそんなに簡単じゃないんですね。次の様な問題が次から次へと噴出する事が予想されます。

  1. 原油価格がいつ回復するかによりますが、今後も原油需要は長期に亘り低迷する事が予想されます。原油の生産コストは国や生産者により違いますが、米国で最近急速に生産を伸ばしてきたシェールオイルの生産者は生産コストが高いので、早晩低価格に耐えられず、倒産する事が予想されます。となると彼らに融資をしている銀行も痛みます。連鎖倒産が危惧されます
  2. 原油は世界に山とあるコモディティーの中でも代表的なものです。原油や原油を生産する会社そのものに投資する人もいますが、原油価格にリンクした金融商品が山ほど販売されています。こういうものに投資した投資家は相当な損害を受ける事が予想されます。かくいう私もリーマンショックの前に原油価格にリンクした金融商品を購入し、リーマンショック後の大暴落を経験した口ですが、今回の暴落はリーマンショック時と比べても比較になりません。
  3. 昔商社マンだった頃、原油採掘会社のアメリカ人から「世の中に出回っている金という金は元をただせば、原油から生まれているんだ。」と聞いた事があります。確かに原油の富を生み出す力はものすごく、米国やロシアやサウジアラビアといった国は原油が支えている部分があります。それだけに先物とはいえ、原油価格がマイナスになるというのは想像もつかないインパクトを世界経済に与えるものと思います。
  4. 再生可能エネルギーの普及にも大きく影響すると思います。これから世界が不況に突入した場合、人々は一銭でも安いエネルギー源に飛びつきます。今後原油価格下落に連れて、天然ガスや燃料用石炭など他の化石燃料も価格を下げると思いますので、再生可能エネルギーは競争力を失うと思います。当面、各国政府も景気対策でおおわらわでしょうから、環境に対する支援策は後回しになってしまうでしょう。そもそも不況で車も走りませんし、工場の操業率も下がるでしょうから、全体としての温暖化ガスの排出量はそれほど増えないと多いますが。
  5. トルコの様な天然資源を持たない国は原油安で一息つきますが、サウジアラビアを代表とする湾岸諸国はもろに影響をうけます。世界的な不況で需要が減る上に、価格が暴落すれば、生産コストの安いサウジでさえ大打撃を受けるでしょう。湾岸諸国はただでさえ政情不安定ですから、イランとサウジアラビアの対立などから紛争が起きてもおかしくありません。

コロナウイルスは歴史を変えうる

コロナウイルスは人の命を奪う恐ろしい病原菌ですが、人の動きを止めたために原油価格の暴落を引き起こし、世界的な不況を生じさせ、最悪のケースは紛争まで起こしかねないとんでもない疫病神なのです。人類は一致してこれに立ち向かう必要があります。

 

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